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0-2になります。
まだ走り始めたばかりですが、この調子で毎日更新したいと思います
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少年が乗る帆馬車が街に近づくにつれ、街との境に設けられた検問所から次々と馬車が出立していく姿が見えた。
多くは自分たちと同じような長距離での移動に適した所謂、旅馬車というもので外見もほとんど変わらず、一人の御者が馬2頭から6頭を走らせ目的地へと向かう。
街へ入るための検問所は賑わいを見せていた。
カインが乗る幌馬車のように長距離移動用の馬車が一番見受けられ、次いで近場の村からなのだろうか簡素な作りの荷馬車に小型の馬が一頭だけ牽くものがいる。
目立つものには貴族なのだろうか豪華な装飾を施した馬車を体躯の恵まれた四頭の馬が牽く物があり、検問を受けるための長い列とは無関係に専用に用意された場所から出入りを自由にしている。
「こりゃ昼までかかるな」
どこまでも続く列を見ながら御者が面白くない顔で言う。
ただ単に街へ入るだけだというのに待つ必要があるその習慣にカインは戸惑いを感じ、馬車から降りた。
「どこいくんだ坊主」
「ちょっとその辺を散歩」
「中には入れんぞ?」
「分かってる」
カインはそう言い、列から離れた。
先程から気になっていた壁近くに点在する麦畑や厩が気になっていたのだ。
何となくだが故郷の雰囲気と似ており、村を出てまだ四日だというのに早くも恋しく感じ始めていた。
街に入れば気を引き締める事になるだろう。今のうちに味わっておきたい。
厩には数頭の馬がおり、飼い葉桶に口を突っ込む食事に夢中であった。
黒や茶色など体色が濃いものが多く、体格も比較的大きいものばかりであった。
厩の横からは麦畑が広がっていた。
区分けされており、一本の農道を基点とし、細い畦道が枝分かれするように接続されている。
その一画に目が留まる。
仕事合間の小休憩なのだろうか、家族らしき一団があぜ道に座り込んで休んでいる。
カインが見つめていると、女の子が手を振ったので思わず応えた。
似たような形で何かしら人が畑に携わっており、各々が手に持つ農具で懸命に畑を耕す姿がわかる。
カインの村には農作で生計を立てるものが多くおり、カイン自身もまたその一人であった。
両親に混ざりながら土いじりをする日々はあまり嫌いではなかったが、やはり冒険者の夢を諦めるわけにはいかない。
ひとしきり巡った後、腹の音で昼を知る。頃合いだろうと、足早に馬車へと戻る事にした。
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