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ランタン、ランタン用の固形燃料が幾つか、水筒、火打ち石、そして保存食。
そのうちのランタンを手に取る。
持ちやすく、形もカイン好みで角に丸みがあるデザインであった。
「品質は保証します」
「選んでくださり、ありがとうございます!」
旅用品をサックに入れ直し、肩にかける。
「いくらになりますか?」
「銀貨18枚ぐらいになりますね」
カインは言われるがまま、値切ろうとはせずに銀貨をさしだした。
受け取ったハンネスも何も言わず、手のひらで数え終えると薄く笑った。
「ありがとうございました。またのご利用、お待ちしております」
旅支度は済んだ。
カインはバイマールズの陸の出入り口に立っていた。
また旅が始まる。伸びた街道の先にある森を眺めながら胸の内は騒いでいた。
傍らにいる人形もカインと同じ方向を向き、何を考えているのかその面からは想像できない。
「蜥蜴族が住む沼地、ちょっと寄ってみようか」
地図を広げながら沼に浸かる木々が描かれた場所を指で囲んだ。
すかさず人形はその指をつかみ、街道に沿って進む道を提案してきた。
そしてそれは地図が切れた先の部分にとまる。
「そうだね、もっと先を目指すべきだよね」
カインは門番に軽い会釈をして薄い石門を通って町の外へとでた。




