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「お待たせてしておりました。ギルドカードが出来上がりましたので、お渡しします」
銀皿の上にカードが二つ、載せてある。
どちらが誰のかなど見た目では分からないが、カインと少女は一目で見分けがついた。
自分のカードはハッキリと文字が見えてるが、隣のカードには何も映っておらず、白紙の状態であった。
「あれ、君のは何も映ってないよ」
「それはあんたの事でしょ」
二人は顔を見合わせ不思議がり、答えを教えて欲しいと受付嬢を見た。
「ご説明します。このカードを初めて使用される方は、所有者様ご本人でなければ認知できない仕組みとなっております」
「えっすごい……」
口をあんぐり開けて少女が驚く。
しかし疑問に気づきそれを問う。
「初めてってどういう意味?」
受付嬢もその言葉を聞きたかったのか、少し微笑んだようにカインには見えた。
「それもご説明しましょう。本人様が承諾されたお方がいらっしゃる場合、カードをお見せすることができます。しかし、全てというわけにはいきません。見られたくない経歴などはご本人様の意思で伏せる事が可能です」
「そこまで出来るのね。すごすぎるわ」
「確かにすごいけど、もし盗られたら」
カインもある事に気づく。
受付嬢は続ける
「お気づきですね。盗難や紛失の被害に遭わられますと、再発行となります。その際には、冒険者に関する経歴は全て無くなり、ランクによる格付けや討伐称号なども失われます。ご容赦ください」
二人は少し身震いした。