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しかし、と少女は周りの冒険者たちを観察する。
同年代の子の姿は確認できるものの圧倒的に少ない。
しかもほとんどが男の子で女の子の姿は今の所は二人だけ確認できた。
二人とも決まって後衛職の格好で剣や斧を持つ子はいない。
「何見てるの?」
「あんたには関係ないわよ」
座り続けるのは性に合わず、少女はおもむろに席を立つと人だかりが絶えた、横長の巨大なコルクボードを見に行った。
大人の手のひらぐらいの小さな紙から、大皿ぐらいの大きさで何やらイラストやらが掲載されたものまで幅広くピンで貼り付けられている。
少女の背でも届く範囲のものを探し、偶然見つけられた底部の紙を一枚、張られたままで目でよむ。
内容は小石集めであった。程よい大きさを六つ集めてくれという、あまりにも大雑把な内容に呆れてしまう。そのすぐ上の紙にはまともな事が書かれており、指定した薬草の採取であった。
これくらいならできるかな、とまだ登録すら終わっていない少女は余裕ぶった態度で頷いてみせた。
「おーい」
カインの呼ぶ声がきこえ、人混みを抜けてテーブルに戻る。
「どうしたのよいきなり」
恥ずかしい思いをしたかのように顔をやや紅潮させ、食い気味で顔を近づける。
「受付の人が呼んでる。できたってさ」
「えっ」
カインの指先にメガネの中年受付嬢がおり、両手にプレートを持っていた。
少女が慌てて足早に取りにいくのでカインは慌てて後を追った。