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10-3

 大きな耳につぶらな瞳の顔が現れた。

 ご丁寧に隠していた尻尾まで覗かせ、こちらを誘うように怪しく動かしてみせる。

「改めまして、店主のココモニカ・ナルシカ2世と申します。略してモニカでいいですよ~」

 両手を膝に置き深々とお辞儀をしてくれた。

 カインもつられてお辞儀をする。

「ココモニカ……モニカさんは獣人なのですか?」

 その姿は猫そのもの。四つん這いになれたら大きな猫にしか分からない程、その顔つきは人とは程遠い。

 モニカはレーベを見て頷いた。

「そそ。私はそこのレーベのお兄さんと同じ獣人。ただワケあってここで店をやらせてもらってる感じ」

「モニカ。それ以上は言わなくても大丈夫です。それよりもこれらがあるか確認してください」

 レーベは薬草屋と同じ要領で紙を手渡した。

 外された手袋から大きな肉球でそれを受け取り、顔を近づけて内容を見る。

 僅かにのびた髭が紙を何度か撫でる度にカインは可愛いと思ってしまった。

「カイン。モニカが獣人なのは秘密にしておいてください」

「どうしてですか?」

 カインは不思議な顔で尋ねた。

「理由は言えません。ただ誰にも言いふらさらないと誓って欲しいのです」

 納得はいかないが理解の意味で首をたてにふった。

 

 モニカとレーベが店内を回りながら商品の説明を受けている際にカインは傍で立ち尽くしていた。

 呪いや毒の類がいつ自分にふりかかってくるか怖く、下手に動くことができない。

 この店はおそらくこの街で一番異質なものを扱っているには間違いない。

 不気味な多い、それ故に触れてはならぬ反動から思わず手が伸びそうになってしまう。

「あ、そうだ。カイン君」

「えっ。あ、はい?」

「君に見せたいものがあるんだった。ちょっとこっちにきて」

 言われるがままについてこうとしたが、モニカは再び天井の入り口へと跳躍して消えた。

 途方にくれていると静かに梯子を降ろしてくれ、あがってくるよう言われる。

 木製のもので踏み締める度に音がなるので落ち着かず目を細めて上だけを見つめながら昇り切るとやや広めの屋根裏みたいな場所へときた。

 モニカがランタンを手に持ち、照らされた先には大きな布が被されていた。

 カインよりも大きく形状から銅像かなにかを思わせる形だ。

「布をとってみて。君が知っているものだよ」

 恐る恐る布を引いていく。次第に顕になるその物にカインは驚いた。

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