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1-3

血液採取の方法で登録する仕組みをとりました。

次はカインの番になります。

「では、準備をいたしますので少々お待ち下さい」


 受付嬢は会釈をし、奥の見えないカウンターへと移動した。

 奥の方にも数人のギルドの職員が働いてる様子で男性は裏方を任されているらしく、受付嬢が話しかける相手も若い男性であった。手と口で説明をしており、口調はやや急ぎ気味である。

 言われた男性も謝っているのか何度も頭を下げ申し訳無さそうな表情で女性の指示に従い、急ぎ足で右へと去っていった。

 待つ間に最初に話をかけてくれた女性も気になっているのだろう、自分の前に冒険者がいない事を確認してから覗き込んでいる。

 そうして数分後に若い男性が息を切らしながら戻ると、手には格式高そうな真四角の木箱を中年の受付嬢に手渡した。

 両手で丁寧に受け取ると、品定めをした後に男性に頷くとこちらへ戻ってきた。


「おまたせしました」


 余計な指紋を付けないよう慎重に木箱の上蓋を取る。

 中には非常に透明度が高い水晶が入っており、内壁には接触して割れないよう柔らかい布が張られている。


「わーきれい」


 少女が目を輝かせて夢中になる。

 受付嬢が上着ポケットにかけていた手袋で慎重に取り出し、上蓋を皿代わりにしてその上においた。

 改めて見るが歪な部分はなく見事な球体である。


「では、どちらから始めますか?」

「じゃ、じゃああたしから。いいわよね?」


 カインは頷いた。

 少女が緊張した様子で水晶玉の目の前にたち、深呼吸をした。


「貴方からですね。採血いたしますので指を拝借いたします」


 少女は言われた通りに右手を裏にしてさしだした。

 受付嬢がその中から人差し指を選び、カウンターの内側に置いてあったのだろう鋭い針で先端をゆっくりと指の腹に刺した。

 一瞬の痛みで体を一瞬だけ強張らせ、刺された箇所からは小さな血の湖が出来上がっていた。


「そのまま血を水晶の表面へ当ててください」


 言っている意味がよくわからないが言う通りに押し付けた。

 しかし何も起きず、少女は受付嬢の顔を見たが無表情のまま視線は水晶玉へと注がれていた。

 カインも訳が分からずにいたが、鈍い光が周囲を瞬間的に照らした。


「登録が済みました。お隣の方もどうぞ」

「今ので終わりですか?」


 親指と血が残る人差し指を擦り合わせながら少女が問う。

 何だか納得いかない気持ちを顔にだす。


「ええ。問題なく終わりました。暫くしましたら貴方の情報が記載されたギルドカードが作成されますので、それまでお待ち下さい」

「わ、わかりました」


 受付嬢に言いくるめられるように少女は納得せざるえなかった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 想像するだけで痛いです。 でも、血は嘘をつきませんからね( ̄▽ ̄;)
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