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出入り口から離れ、円柱の傍で一息ついていた時であった。
黄色い三角帽を被り、フォーマルな服装の受付嬢と目があう。
カイン達に優しく手を振りながら笑顔を向けるので、思わず赤面してしまった。
「あの何か?」
少女が一人突っ走り受付カウンターに両肘をのせた。
面白くない顔でやや垂れ目の受付嬢を見つめる。
「ごめんなさいね、いきなり。大丈夫かなって思って」
冒険者とカインの一幕を見ていたのだろう受付嬢は眉を下げて心配してくれた。
ほんの少し、まだ心の中にわだかまりが残っていたがそれも時間が解決してくれるだろう。
気合を入れるべく両手で頬をしばいた。
「大丈夫です」
元気な声で答えると、目を細めて落ち着いた表情で受付嬢が頷いた。
「あのっ」
「はい?」
「私達、新規登録に来ました」
少女の言葉に隣で控えていた鋭い目つきの中年の女性が反応した。
コルクボードに向けられていた目が向けられ、少女はたじろいだ。
「もう、怖がってるじゃないですか」
「怖がらせているつもりはありませんよ。それよりも今、新規登録と言いましたかね?」
中年女性がメガネを光らせる。
「は、はい」
「ならば話が早いです。私が新規登録業務を受け付ける者です」
女性は淡々と話した。