表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

運命共同体になるんだー...?

急がないと先輩(仮)が死んじゃう!

く〜〜〜ッ!くそっ!


共有知覚存糸(テレサイト)


 この糸は相手の状態に関係なく、情報を出し入れすることが出来る糸だ。あまり便利とはいえないけど、私達蜘蛛は、これで身内とやり取りしていたんだ。···巣に引っかかった()を使って。そう、本来これは死体に使うものなんだ。だからあまり、生者に使いたくない。が、私の目的のためなんだ!折れてはいけない道もある。


 で、これを相手の何処に突っ込めばいいのだろう。身体に繋げるわけではないから何処でもいいんだけどね。

 ···首筋にしよう!一番通しやすいし、一番使わなそうだしな!私ほど人間に優しい蜘蛛などいないだろうな!ふふーん♪


──スルスルッ




 小蜘蛛の下腹部から細い、透明な糸が現れる。だがそれは下腹部から直に出されたわけではない。どちらかといえば、生命力を糸として可視化された状態で細く長く出されている。体内ではあるが、3次的な場所ではないのだ。そして、この糸は決して切れることがない。


 小蜘蛛が出した糸が首元から女の体に入っていく。


「うぅっ、」


 女が悶える。当然だ、その糸は魂へと侵食するのだから。形こそ変わらないが、魂に干渉している。例えるのならば、体の原型を内側から変えられているような感覚だ。言いようのない快感が体を襲う。体の発光はとうに収まっていた。


 1分もしない時間が経っただろうか、女が呼吸を落ち着かせるように深呼吸を繰り返す。


「一体何が···!じ、自壊が出来なくなってる、」


❨勝手に死んでもらったら私が困るから、消しといたよ?❩


「..!」


 突然、頭の中に声が響く。女は周りをキョロキョロ見渡し、声を上げた主を探す。一通り見回して結論に至る。


「も、もしかして貴方が何かしたの、」


 女は、未だに腕の上に乗っている小さな蜘蛛に視線を向け、問いかける。それがどれほど滑稽なことだとは己が最も承知していた。魔物は知能が衰えているため、コミュニケーションなど取らない。世界中で周知されている事だ。だが、それでも聞かずにはいられなかった。

そして何より、彼女は敗北者だった。


❨そうだよ。こんにちは、スパイさん。私はスパイダー。追従する名前は知らない。でも、悪い蜘蛛じゃないよ?❩


 蜘蛛が常識を破って受け答える。丁寧に腕から掌に移っての自己紹介だ。腕に鳥肌が立つ。いくらサイズが小さくても、自分の体を虫が這うことに不快感は覚えるだろう。女にとって不幸だったのは、相手側に悪気と遠慮がないことだった。


❨それじゃあ早速だけど、私をスパイにしてほしいんだ!❩


 訳もわからず爆弾を投げられたような気分になった女だった。

名前はまだ決まってないんだーなー..ヤバ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ