ジェスチャーまんダー!
ここが僕の分岐点だ。
まさかの同業者(仮)だったなんて…この人はスパイだったのかぁ。
全然わからなかったよ。躍動感溢れるかのスパイのイメージとは真逆だったからなぁ。私はイメージアップしたいからスパイになりたいのに、これじゃ昔と変わらない〜。それじゃだめじゃ〜ん。
今できることなんてこの人から少し情報をもらうことくらいだからなー。骨折り損ってやつかもしれないな。
...いや、そうか!わかった!そうだこの人に紹介して貰えばいいのか!
くっくっくっ、こんなあくどいことを思いついてしまう私はなんて悪い蜘蛛なんだッ
そうと決まったらコミュニケーションをとるとしよう!ほら少しずつ解毒してあげるから、僕の話を聞ーい〜て〜。かぷっ。
「っ!」
パチン!
げ!叩かれた。反動で牙が腕から抜けた!人間の、本能的なものだと思うけど。...はぁ、やっぱりこの形態でも人間に嫌われるのかぁ。悲しいな。いっそのこと、人間乗っ取ろうかな。··いやバレるね。無理。共存の道が完全に無くなっちゃう。それはまずいよ、
もう!とにかく!取り敢えずなにか話してよー!
我々蜘蛛には人間のような、楽な感覚共有方法がない。群れを作らない蜘蛛は、同種族だろうと敵、コミュニケーションなど取らないのだ。他種族なんてそれこそ以ての外。そもそも、コミュニケーション自体、自身が絶対的な強者でない限り通用しない。そんな甘っちょろい考えを持つものが強者でいられるはずがない。だからこそ不必要。
ま、私はするんだけどね。
前足を二本上げる。チクチクチクチク足を腕に押し付ける。こっちに気を向かせる。
私が聞きたいことは...そうだなー...良し!スパイへのなり方を教えてもらおう!
だったら、そう!スパイといえば隠密行動だ。
目を隠す仕草をする。複眼だけど···。それから、認識阻害をする。ちょっと視点を変えるだけだ。そして現れる。それから皮膚をちょっぴりと剥ぎ取る。さぁ、どうだ!
「··くっ!···くそ!まだ離れない!見えなくなるし!?なんて硬いの?!まさかこいつ、魔物なの?!」
えー!全然伝わってないんですけど!
お願い!喋って!通報されてるから!警備兵来てるから!あなたが捕まると私が困るからーーー!
「くッ!生け捕りにするつもりか!ならばッ!」
あれ?体が光ってる。これ、自壊魔法では?
ヤバい!先輩(未来の)が死ぬ!まずい、非常にまずい。
·····仕方ないけど奥の手を使うしかないよね、
死ぬの?死んじゃうのん?