65.【注意喚起】困ったら編集長を呼ぼう!
注意喚起です。
X(旧Twitter)において、作家が出版社への愚痴をぶちまけるポストが相次いでいます。
確かに出版業界は特殊な場所。企業勤めをしながら作品を書いている作家さんからすると、返信の遅さや契約の遅さにイライラさせられることが日常的になっているようです。
私も彼らのいらだちは理解出来ます。
愚痴ポストの中には驚くべき内容があるのも事実ですから。
以前、メールの返信に一年待たされて受賞を辞退……などという事件がありましたが、今回見たケースでは刊行に四年かかってしまい、更にメールを二か月待たされ、Xに内情をぶちまける事態が報告されています。
このケースを見て、
「出版社はこんなもんよ。私も○年待たされた」
「返信二か月来ないのは当たり前」
「そんなことでは出版は無理。我慢せよ」
などとおっしゃる作家さんがいっぱい出て来ました。
???
正直……私は「ちょっと待て」と思いました。
そういった編集者はさすがに〝問題アリ〟だと思います。
メールの返信が来ないなら、ガンガンメールしてしまいましょう。待っていては何もしてくれない編集者なら、これで解決出来るかもしれません。
しかしそれでも無視が続くようであれば、埒が明かないので担当編集者を変えてもらいましょう。
担当編集者を変えるにはどうするか?
そのためには編集長に話を通して下さい。
以下の方法があります。
①編集者にメールで「担当を変えて下さい。編集長と話をさせて下さい」と直談判
恐らくメールに返信しない系の編集者であれば、このメールも無視されることでしょう。やはり返信がないという場合は……
②直接出版社に電話
出版社のHPにある電話番号にかけてみましょう。
この出版社で本を出す作家であること、名前、レーベル名などを伝え、編集長に繋いでもらいます。
おかしな編集者の場合、嘘をついていたり、自分の不手際を上司に報告していない可能性が高いです。
なるべくでしたら事前に不手際の羅列をメモしておき、あらいざらい話しておくとよいでしょう。
編集長の主な仕事は〝編集者のマネジメント〟です。
普通の企業と同じく、部下の失態は上司もその責任の一端を負わなければなりません。
まともな編集長なら担当編集者を交代させてくれるでしょう。
案外、そりが合わない、感覚が合わないくらいの理由で「担当編集者を変えてくれ」とおっしゃる作家さんも多いそうですよ。
トラブルになってXに内情をぶちまけられるよりは、丸く収めた方が双方のためになります。
おかしな編集者でお困りの方は、Xでぶちまける前に編集長に相談してみるといいでしょう。
けれど、編集長もまともでない場合はどうしたらいいのでしょうか?
その場合、もっと上の人を出してもらいましょう。そう、マトリョーシカのように……
しかしそれでもまるで埒が明かない場合、どうしたらいいでしょうか?
③その作品をその出版社で出すメリットはないと判断しましょう
編集者は代えられない、出版もしない、そんなことになったら潔く作品を引っ込めましょう。
あなたの大切な子供のような作品を、なぜぞんざいに扱う出版社に渡す必要があるのですか?
出版社の多くが刊行直前に契約を結ぶことになるので、編集者がメールを返信して来ないぐらいの時は恐らく契約は済んでいないでしょう。
書面で契約していない場合、そこでの出版は取りやめにしてふりだしに戻しましょう。
いい作品ならば、またどこかから声がかかるかもしれません。
もう契約してしまった場合、話し合いで解決できない場合は司法を頼りましょう。
最後に。
「編集長に言えば担当編集者は変えられる」というのは、私の担当編集者が偶然編集長経験者だったために得られた情報でした。
新人作家さんの中にはいきなり問題のある編集者と当たってしまい、出版社の常識がまるではかりきれず五里霧中になっている作家さんも多いと思います。
一番最初にぶちまけるのはXではなく、編集者と編集長、出版社です。
順番を間違えてXで愚痴散らかし、他の出版社さんからの印象を落としてしまうと大損ですよ。




