60.コントロールされないために
創作論をまことしやかに語っている私が言うことではないと思うのですが、誰かの創作論をまるっと信じるのはやめましょう。
本来書き方は人それぞれ違い、自分なりの作品を書くことが創作の原点です。
個性を潰してしまうような創作論をうのみにすれば、せっかく育てた個性すら飛んで行ってしまいます。
料理に例えれば、創作論は食材のひとつに過ぎません。
隠し味程度に取り入れるならいいのですが、もしその創作論がパクチーだの生姜だのであった場合、取り入れると全部がその味になってしまうので注意が必要です。
どんなに立派な肩書がある人の言葉でも、その創作論を取り入れたことによって自身の個性(味)が消えるようなら取り入れない方が無難です。
そして「今、自分は誰かの言葉に振り回されているな」と感じたら、いったんその言葉から離れた方がいいです。
たとえそれがプロの言葉であっても、です。
また、なろう作家さんによくあるのが、感想欄での指摘をむやみに取り入れてしまうことです。
明らかに言葉を誤用しているなどの指摘ならともかくとして、あなたの作品が根底から崩れてしまうようなアドバイスを送って来る読者の言うことはうのみにしない方が良いです。
それは単に「あなたの作品をコントロールしたい」欲求を書いているだけの可能性が高いです。
もしあなた以外があなたの作品をコントロールして来ようとするなら、あなたはNoと言うべきです。
作品は基本的には、誰かのためのものではなく、作者のためのものだからです。
船のオールを誰かに任せてはならないのです。
恐ろしいことに、たまに編集者などにも「作家の作品をコントロールしたい人」が紛れているようです。
作家はどうしても出版する時は不安ですから、編集者を頼りたくなります。
もちろん頼るべき時もあるにはあるのですが、私の経験からすると基本的に編集者が作家に「こうしろ」と居丈高に強く出ることはありません。
作家の作品に直接手を入れることはのちのち大きなトラブルを生むことを、彼らは知っているからです。
「作品は作家さんのものですから」
と彼らはよく言います。
私は最初、それを「作品に対して他人事なのかな?」と思っていたのですが、どうやら違うようです。
作品は出版社のものではなく、作家のものです。ほとんどの契約書にもその旨が明記されています。
(※たまに著作者人格権の放棄または譲渡を契約に盛り込んでいる契約書があるので注意してください!)
もし作者の意図しない展開を強引に推し勧めて来る編集者がいたなら編集長に相談の上、担当を変えてもらいましょう。
(※結構、変えるケースは多いらしい。へんなところで遠慮していては損ですね)
作家の立場は弱いですが、作品の命は作家が握っています。
著作権は出版において、かなり強い権利です。それは作家が守るべきものです。
作品のコントロール権を持っているのは、読者でも出版社でもなく作家だけ。
自分の世界は自分で作り、自分で守って行きましょうね。
どちらかというと当エッセイは、創作論というよりなろう投稿に関するテクニックと根性論の羅列であると思っています。