43.上手に絵を描こう
題を見て、いきなりこいつは何を言っているのだろうと思われたことだろう。
しかしこの「お絵描き」スキルは、ラノベ作家になる上でかなり重要なスキルであるらしいことが最近判明したのである!
皆さまご存知の通り、ラノベにはイラストが描かれる。
表紙、裏表紙はもちろん、その中までイラストがふんだんに掲載されている。
そこで、イラストレーターさんにキャラクターデザインを頼むことになるのだ。
その際、作者は編集者からこんなことを言われるだろう。
「キャラクターシートを作りましょう」
キャラクターの特徴を一覧表にし、イラストレーターさんにキャラデザしてもらうのである。
ラノベ作家の中には、これが一番胸にじーんと来るとおっしゃる方もいる。なかなかに感動的な作業だ。
空想をプロの絵師に形にしてもらえるなんて、この上ない僥倖!
そこで嬉々として全て文章で書きつけて送ると、こんな返事が返って来た。
「既存のキャラクターで近いキャラはいますか?」
なるほど、文章だけではどんなキャラかよく分からないから、既存のキャラで例えることを求められているのだろう。
しかし、そんな画像を探し始めると──
意外といない!
自分の生み出したキャラクターに近い既存のキャラは、案外見つからないものなのだ。
そんな時は、割と真面目に描くしかない。
小説家が、イラストを描く必要が出て来るのである。
私は描ける方なので、描いて送る。
すると私が「案外描ける」と判明したからか、更にあちらは要求を突き付けて来る。
「どんな衣装にしますか?ご希望があれば」
そこで、場面ごとの衣装を描いて送る。すると
「この部屋の中はどうなっていますか?間取りはどんな感じですか?」
と来る。私は間取りを描き、更に家具の配置も全てイラストに起こした。
やれやれと思っていると、また次の要求が待っている。
「この小屋の外観はどうなっていますか?」
ここまで来ると描けないので(建築物は苦手)、今度はネットから画像を漁ることになる。
いくつかそれらしい外観を見繕って送信する。すると
「このケーキとキャンディはどんなものですか?」
「瓶詰めには何を入れますか?」
「ここはどんな村ですか?」
矢継ぎ早にイメージ画像のカツアゲが始まる。そんなわけで私は日がな一日、それらしき画像を漁りまくる。こうなって来ると、全く文章を書くことなくただ画像検索をする日々がしばらく続く。
そういうわけで、作家には画像探索能力が必要となって来ると判明したのである。
イラストを描くにせよ画像を見つけるにせよ、自分の頭の中を自分の中でしっかり見ることが必要だ。
文章で書く時は何も考えず「美男子」「小さな女の子」「老人」などと書き表していたものが、ラノベの本にするとなるとその全てを具現化するという壁にぶち当たることになる。
これを探すのも描くのも、意外と難しい!
なので適した絵を描く能力・画像を見つける能力が、作家には問われて来る。
一番いい方法は、俳優とキャラクターに詳しくなること。これで大体のキャラ設定は上手く行く。
あとは時間がある内に、自分の中で素晴らしいと思える風景や街、建築物の画像を集めておくといいだろう。その画像が、のちのち心強い味方になる。