42.粗探しより「良い点」を探そう
自分の作品は拙い。
向上心のある作者ならば、割にそう考えていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。
自分の作品を批判的に見る。
自分の作品の粗探しをする。
他の作品と比べ、自作の劣っているところを探す。
その内に、何だか自分の作品がいいように思えなくなる……
みなさん、そんな毎日を送っていることと思います。
無論私もそのタイプで、自分の作品は拙く、もっと向上すべき点がある!という考えでおりました。
そんな時、書籍化が決まります。
嬉しい反面、
「こんな拙い作品で大丈夫かな?」
などと心配になったりしました。
初めて編集者と話した時でも、勿論その考えは抜けていませんでした。
私の中で、編集者と言えばDr.マシリト。(※鳥山明先生担当の名編集者です)
欠点をズバズバ言われ、コテンパンにされ、もう最後は「ボツ!」などと言われるのだろうと覚悟をしておりました(ジャンプの鳥嶋編集は、作者に厳しい編集者で有名でした)
しかしそこで色々編集に質問攻めをして、奇妙なことに気づきました。
私が私に向けていた批判眼は、どうも的を射ていないらしかったのです。
私は私の特徴を嫌いになるまで、私自身を追い詰めていたようなのです。
あちらは私が欠点と思っていたことを、そうは捉えていなかった。
ストーリーをもっと大きく捉え、細かい欠点は掘り出さず、私にしか出来ないことを見出そうとしていたようなのです。
そう、私はいつの間にか、私を褒めることをやめていたのです。
これは自分の中では驚きで、同時に目から鱗が落ちたような気がしました。
自分の作品の粗探しにばかり明け暮れ、いつの間にか自分の「良い点」を見出すことをしていなかった。
それが常態化し、無駄なストレスを溜めていたようなのです。
これは一度立ち止まらなければならないぞ、と思い直した出来事でした。
考えたら当たり前です。
出版社はある作品を書籍化または受賞させるのに、その作品の欠点ばかり探しながら読んでいるわけはないのですから。
ある作品から、他にはない特徴や良い点を見つけ、世に出すのが「出版」。
もしどこか直すべき点があったとしたら、改稿のその時に、直すかどうか作者と考えるだけのこと。
悪いところなど、後で直せる。
一番大事なのは「良い点」を増やす、または伸ばすことだったのです。
私はなろうで書く内、どうも自分の欠点ばかりが気になって、褒められたことをなおざりにしていたようなのです。
もしかしたら、これはなろうの弊害なのかも知れません。
なろうには「感想欄」というものがあります。
お褒めの言葉をいただくこともありますが、矛盾点を指摘されたり、願望を書かれたり、批判されたりすることもあります。
批判や欠点の露出を恐れるあまりそちらにばかり腐心し、私は肝心の「良い点」を放置してしまうという悪循環を起こしていたようなのです。
なろうで感想を貰える作品は、実は少数派です。
褒めてくれる感想に当たることもあれば、批判される感想に当たることもある。
それは完全にランダム。運の要素が強いので、そこで批判されたら、真面目な作者ほど真に受けてしまいがちです。
批判にさらされ続けたり、批判を気にし過ぎたりすると、結局のところ小説を書くのが楽しくなくなってしまいます。
すると、どんどん書けなくなって行きます。
さて、ここで原点に戻りますが、私たちはここへ筆を折りに来たのでしょうか?
違います、書きに来たのです。
書き続けて、あわよくば小説家になろうと思って来たのです。
ならば批判はとりあえずそれとして脇に置いておいて、楽しく小説を書きませんか?
それから、みんなでみんなの小説のいいところを見つけて、感想を書いて行きませんか?
レビューをしませんか?
批判したい人も、批判だけでなく「良い点」にひとこと添えてみませんか?
それだけで、この世界は(なろう内のみならず、コロナ禍の空気だって)がらっと変わるかもしれません。
「良い点」を伸ばしましょう。
自分の作品、他者の作品でもいいです。何かにつけ「褒め癖」をつけておくと、自作に新しい風が吹くかもしれません。
出版社はみなさんの「良い点」を見出そうとしているようですから、見出されるように今から準備しておきましょう♪