40.章立てが書籍化への近道?
拙著「没落令嬢の幸せ農場〜最愛の人と辺境開拓スローライフ〜」が、第3回アース・スターノベル大賞の審査員賞「異世界で自由に暮らす。気ままなスローライフ」部門に選ばれました!
2022年3月16日書籍発売予定。
これからは書籍化する中で、色々気づいたことも書いて行こうかと考えています!
実は書籍化作業をする上で、欠かせないのが「章立て」です。
つまりお話を何分割かして、副題をつけ、まとまりを作って行くのです。
なろうで小説を書いている方々は、ほとんどが「章」でストーリーを区切った経験があると思います。
でも、ちょっと待って欲しい。
──その章立てで、大丈夫?
というのも皆さまご存知の通り、なろうは何が何でもスタートダッシュが大事なのです。
いわゆるホットスタートというやつですね。
方法は様々です。婚約破棄なんていうのはその最たる例。ほかにも追放ざまぁ、ハズレスキルや思わず笑ってしまうようなキャラの特徴などで読者を一話から引き付ける……というのも定石ですね。
しかしそれは最初に読者を取り込みなろうのランキングを駆け上がるには有効ですが、長編を書籍化する、出版するという点では少し弱くなります。
なろうのランキングを駆け上がるには良くても、一発ギャグ的に短期間でしか評価を稼ぐ効果がなく、出版して長期連載にするには向かないと判断されてしまう……ということです。
そこで、ストーリーを章立てしてみましょう。
例えば追放ざまぁでスタートダッシュを図ったら、追放で一章、見返すための努力で二章、実際に見返すざまぁで三章ぐらいは書けると思います。
問題は、その先。
その主人公はライバルにざまぁして旅を終えるのでしょうか?溜飲を下げたら、人生の目標達成でしょうか?お話全体としての山場はその一箇所だけなのでしょうか?
そんなはずはありませんので、ここからが作者のストーリー作りの見せ場になります。
そこで四章では、三章までの経験を活かし、ハズレスキルで依頼を受けたりすることになると思います。ここで多くの読者が願います。
ここから、本当のストーリーが始まるのだと。
スタートダッシュはテンプレ大喜利でも、この作品はこれからストーリーの核や個性を見せてくれるのだと。
そこで四章に、起承転結で一本のストーリーを作ってみましょう。
十話完結の作品を書くぐらいの規模で、そのハズレスキルで何かを解決してみましょう。
この十話を四章とします。
そして四章で培った人脈を使って、恋人や様々な協力者と出会う。それが五章。
このように、章でひとまとまりの話、ひとまとまりの山場を作れば、自然と緩急ある長編の形になって行きます。
こんな感じでうまいこと10万字に乗せれば、書籍化の可能性も見えて来ます。
しかしこの手の作品に多いのが、謎のスローライフやハーレム展開になってどこか内容に一貫性がなく、お話がだらけてしまいがちになることです。
ホットスタートの流れで主人公から復讐の軸が抜けてしまうので、キャラクターの核がなくなってしまうという悲劇が起こりがちなのだと思います。
出来れば追放や復讐の前に、主人公の目標や向上心をある程度設定しておくことをおすすめします。
本来小説にとって一番いいのはどんどん面白くなるという流れなのですから、尻すぼみになるような構成は避けた方がいい。
何かが雪だるま式に膨れ上がるようなお話、後半にかけてどんどん伏線を回収して盛り上がって行くようなお話が、なんだかんだ書籍には求められているのです。
区切りなくだらだら平和に暮らすだけの話では未来図が見えず、書籍にしにくい傾向がありそうです。
なろうで評価ポイントを稼ぐのも勿論大事ですが、果たしてこれは書籍の形になるのか?文字数は足りているのか?構成は盛り上がっているのか?山場はいくつあるのか?
書籍化を目指すなら、そのような視点を持っておいても損はないと思います。