35.そのアイデアが突破口
さて、連載を続けていると「楽しい展開」「熱い展開」が尽きてしまうことがあります。
私もしょっちゅう「展開切れ」を起こしてしまいます。
「うーん、次に繋がるアイデアが出ないよ!」
そんな時、私がいつも考えるのは──
「現在のストーリーを〝一気に〟面白くする方法は何だ?」
この「一気に」というのが、私の中の魔法のキーワードです。
ストーリー展開を熱くするには、読者に「引き」を作るには、みなさんどうしていますか?
他の創作物を読むというのが、まず一番最初にする方法でしょう。
展開のいろはをプロが書いてくれているのですから当たり前といえば当たり前ですよね。
しかしそれを読んで、それをそのまま引っこ抜いて自身の小説に押し込めたのでは「アイデア」とはならないのです。
昔、スーパーマリオの生みの親である任天堂の宮本茂さんが、こんなお話をされていました。
〝アイデアとは、複数の問題をいっぺんに解決するものである〟
つまりひとつの問題をひとつぶん解決する方法というのは、〝アイデア〟とは呼べないというのです。
ストーリーを一歩進めさせるだけでは、読者は物足りなく感じてしまいます。
たとえば、お腹が空いたのでお店に行ってご飯を食べる、というだけの展開は面白くないですよね?
もうひとつ先のことを考えてみましょう。
ご飯を作る魔法、ご飯を奪うイベント、ご飯の生える木、ご飯を作ってくれる美少女──
先の先の展開を総取りするような展開を先に提示した方が、面白くなると思いませんか?
ストーリーをひとつ進めるというより、一気に、スピーディに進めるという意識で次の展開を考えて下さい。二手先を読むような。
すると、不思議と背中を飛び蹴りされるような、画期的な展開が立て続けに浮かび易いです。
ひとつの展開で二度、三度美味しい。
そんなアイデアにぶち当たったら、その小説はとっても面白くなります。
しかしひとつ注意して欲しいことは、展開を多く生む小説はそれだけストーリーの管理が必要になる、ということです。
脱線に次ぐ脱線では、読者がついて来られなくなります。
ですので、アイデアはなるべくその章で使い切れる(手に負える)ようにするといいでしょう。
すると章ごとに引きが出来ますので、読者がついて来てくれますよ。
是非チャレンジしてみて下さいね。