33.感情の処理を頑張ってみる
書いていて
「何か物足りないな~」
と感じた時は、大抵「キャラクターの表情が足りていない」または「キャラクターの心情が書かれていない」時です。
以前お料理教室に通っていた時、料理の先生がこんなことをおっしゃっていました。
「何か味が足りないな~と思った時、それは塩分が足りない時」
「何か」という漠然としたものの正体は、だしでも具材でもなく、塩分だったのです。
我々素人は、意外と単純な物事を見落としていますね。
でも、それに気づくまでにはプロからそう言ってもらうか、自分の経験で判断するしかないのです。
それって結構遠回りですから、今ここで私がこっそり教えちゃいます!(偉そう)
例えば、
「この話、どっかで見たことあるし、書いててつまらないな」
と思ったら、キャラクターの性格から起こる心情が描き切れていない時です。
キャラの個性や話の筋なんて、既に書き尽くされています。我々はもはや、誰かがどこかで既に書いたようなことぐらいしか、書けないのです。
ストーリーラインは、神話で全て網羅されているとすら言われています。
教育テレビや子供向けアニメなんかを見ていても、キャラクターというものはある程度均質化されているものなんだなーというのがよく分かります。
そこで、そのキャラクターがその事件にぶち当たって、どう思ったのかを細かく書いてみましょう。
何だか急に、そのキャラクターが親しみやすく見えて来ませんか?
すると全体的な物語の彩度が、ぐっと上がって来るのです。
純文学なんかを見ていると、よく分かりますね。
何気ない日常でもあそこまで掘り下げると、面白くなって来ますもの。
あの小説の神様こと、志賀直哉が書いた「城崎にて」なんて、石投げてイモリが死ぬだけの話なのに面白いです。
同じく「小僧の神様」なんて小僧が寿司おごってもらうだけの話なのに、面白い。
全て、主人公の心情を巧みに描き出しているから読ませてしまうんです。
だから小説が面白くなくなって来た時、真っ先に見直すべきは「キャラクターの心情」です。
これが面白かったり、共感させられる心情であれば、どこかで見た話もちょっと面白い話に格上げです。
本当に、ちょっとの「心情=塩」で、全体像がガラリと変わってきます。
もし何か行き詰まりを感じていらっしゃる方がいたら、是非試してみて下さいね。