表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/63

28.誰だ?なろうに文章力は不要と言った不届者は。

 いつの間にか拙著「没落令嬢の幸せ農場〜最愛の人と辺境開拓スローライフ〜」が20000ptを超えていました。


 なんか凄いことになって来たなーと案外他人事です。




 さて、自分が月間ランキング上位に載ったことで、他の上位作品も気になって読んでみました。


 もちろん題材の面白さ、ストーリー運びの上手さなどは共通しているのですが、ちょっと面白いなと感じたのは「文章」の個性です。


 なろう上位の文章は、平易な文章と詳細な書き込みのある文章とで二極化しているようなのです。




 以前、どこかで誰かが言っていました。


「なろうに文章力は必要ない」


 最初に申し上げておきたいのは、文章は上手に越したことはありません。でもって、上位ともなると皆さんお上手です。


 しかし恐らく上記の発言をした方は、なろうのその時の上位作品を読んで素直にそう感じたのでしょう。


 おーい、ちょっと待てよ?と私は思うのです。


 もしなろうの文章が平易でつまらないと感じた読者がいらっしゃるなら、私はこう言いたい。


「それってなろうの形態に合わせて、進化した文章なのかもしれないよ?」





 先にも書いたように、なろうで「読まれる」文章には二種類あると思います。


 ひとつめは、驚くほど平易でさくさく進んで行く文章。


 ふたつめは、かなり詳細に書き込まれた、漫画の場面展開のような文章。




 ひとつめから紐解いて行きましょう。


 我々は大昔、本と言えば縦書きで、紙でめくって読んでいました。


 でもそれが、ある日横書きで、小さな光る板をスクロールする方法になった場合──




 行間を空ける。


 文字数を限りなく少なくし、目に痛くならないように早く読んでもらうことにする。


 こうなっても何らおかしくはないのです。




 紙はじっと待っていてくれますが、画面は目に悪いし、電池が切れますし、ネット環境が整い過ぎてるから別の記事を読みたくなってしまいますもの。


 だから、以前はこういった文章が多かった気がします。




 ふたつめの文章は、最近よく出て来るようになったなーと思う文章です。


「読ませる」というよりは、「画面を見せる」ような文章です。


 漫画のように、状況説明や背景がしっかりしている。


 キャラクターメイキングがはっきりしていて、頭にしっかり記憶出来るようになっている。


 玉虫色の表現を使わず、なるべく謎めいた部分は排除する──




 これは結構「熟練の技」な気がします。


 ずっと小説を趣味で書いて来た、特に女性に多い気がします。


 謎や想像させる部分というのは、完結保障をされていないウェブ小説では悪手です。


 だからあえて情景や心情を、先回りして詳細に説明しておくのですね。


 sideという書き方が流行ったのも、こういった事情があるようです。


 かつての小説にあるような「行間を読ませる」工夫を、あえてすっ飛ばして書いているのです。


 当然、これによって読者への負担はグッと減ります。




 さて、そういうわけで、どちらの文章も「読者への負担」を減らす「脳みそに優しい」文章だということです。


 それを「下手」だと断じてしまうか「読みやすい」と捉えるかは読者次第です。


 しかしひとつ言えるのは、なろうの読者は「お金を払って読んでいない」ということ。


 お金を払ったのに平易な文章では「読み応えがない」と捉えられてもおかしくないわけですから。


 その「無料サイト」というあたりが上手く作用して、いわば「お互い様」のような、いい塩梅の関係がなり立っているのかもしれません。




 なろうの文章は読者と作者の「ライブ感」によって生み出された文章だと私は感じています。


 両者の阿吽の呼吸が、なろうの二極化する文章を作り出しているのです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

没落令嬢の幸せ農場〜最愛の人と辺境開拓スローライフ〜
↓Amazonリンクに飛びます↓i629006
アース・スターノベル様より好評発売中!
― 新着の感想 ―
[一言]  平易な文章といえば菊池寛翻訳版の『小公女』なんてこれでもかってくらい平易な文章だけど独特の雰囲気と喋り方でキャラ立ちまくりの人びとがめっちゃ魅力的。小難しいのと相手に合わせて話を作るのは別…
[一言] 極端な例えをするなら、紙の書籍はレストランのコース料理で、なろう小説はコンビニ弁当なのかもしれないですね。 でも私はコンビニ弁当がレストランの料理に劣っているとは思いません。 そもそもこの二…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ