22.それって楽しい?
さて、このエッセイも最終回となりました。
最後に、皆様に問いたいと思います。
「それって楽しい?」
なろうで小説を書くのってとても大変です。
エッセイランキングを眺めてみると、作者の苦悩たるや凄まじいです。
やはりブクマ評価というものがあるので、どうしても気になってしまうのでしょう。
あれだけ頑張って書いたのに評価されなかったと思ったり、またはいきなりバカスカ評価されてランキングトップに躍り出てしまい、書くのが怖くなって削除してしまうなど、なろう内では数多くのドラマが繰り広げられています。
「それって、楽しい?」
作者なら、自分に思わずそう問いかけたくなる瞬間が、数多くあります。
けれど、今の私ならはっきり答えられます。
「うん、楽しい。凄く苦しいけど、その苦しいのも楽しい」
なぜなら……
私は書けない期間の方が長かったからです。
私は物心ついた時から、物語を書きたくてしょうがない病でした。
なのに、ちっとも書けなかった。
最後まで書く力がなかったのです。
どうしても完結させたいのに、させる力が皆無でした。
自分の中に生まれたキャラクターを闇に葬り去るのは、本当に辛かったです。
短編は細々と書いていました。
でも、やはり長編を。
そう思っていた矢先、妊娠をしました。
先輩ママに
「子どもを産んだら自分のことは何も出来なくなるから、妊娠中にやりたいことやりなよ」
とのアドバイスを受け、
「ここらで長編を一本書こう」
と思い立ちました。
それで長編を書いて行くと、なぜか10万字を一気に書き切ることに成功したのです。
今でも不思議なのですが、それをラノベの賞に投稿してみることにしました。
最終選考には届かなかったのですが、まずまずのところまで行き、選評をいただけることとなりました。
そこには編集者さんからの言葉で、こう書いてあったのです。
「初めての投稿ということですが、あなたには書く力が既にあります。これにめげず、とにかく書いてください。書くことでしか、書く力は得られません。今後も挑戦を続けて下さい」
誰かに「書いてください」と言われたのは初めてでした。
その時、初めて書く苦悩より、書く喜びが上回りました。そうか、書けばいいのか、と明確な道筋が目の前に生まれたのです。
子どもも無事生まれ、人生で一番体力も時間もない時期ですが、何度か長編を書きました。
色んなところに送ってみましたが、やはり受賞などは出来ません。
「やっぱり私の作品は、誰にも読まれないで埋もれて行くんだ」
そう思い絶望していた時、やっと行き着いたのがこのなろう畑。
「おっ。ここならどんな作品だって見てもらえる!」
そのトップページを見つけた時。
──書いてください。
そう言われた気がして、嬉しかったです。
書籍化が夢。ランキング一位が夢。目標は色々あるでしょう。
けれど忘れないで欲しいのは、その数少ないブクマも評価ポイントも、
「書いてください」
そう願う、誰かからのメッセージなのです。
風がふわーと吹いてタップしたわけでも、機械がドスンとプッシュしたのでもありません。
誰かが、画面の向こうで待っている。
そう思って書きましょう。
ポイントに悲しまないでください、順位に落胆しないでください。
お話が書けるって、素晴らしいことです。
あなたの物語を待っている人は、きっといます。
その人数がたとえゼロ人だったとしても、あなたがあなたのために書くべき物語がきっとあります。
小説を見てもらうためのテクニックは色々ありますが、最高の妙薬は〝楽しむこと〟。
だから書いてください。
他ならぬ、あなた自身のために。