12.「構成力」とは「並べ方」である
さて、なろうには膨大な数の小説がありますね。
中には似たような題材を用いているにも関わらず、評価が分かれている小説があったり。
勇者が魔王討伐後の世界でスローライフ……とか。
婚約破棄からのざまぁ……とか。
題材は一緒なのに、キャラクターもどこかで見たことがあるのに、ここまで評価が分かれてしまうのはなぜでしょう?
それは「構成力」に秘密があるのかもしれませんよ!
なろうでの構成力の発露としては、「引き」の重要性は誰でも知るところだと思います。
次のページを読ませるために、次話が気になるように最後の一文を工夫しておくという、アレ。
私もそれはいつも気にかけてやっているけれど。
その「引き」が次々跨っていたとしても、やはりつまらなく思えて手放してしまうストーリーというものがあって。
ここで「構成力」が問われて来るわけです。
かつて公募組だった私は、二次三次に残ると貰える評価シートの「構成力」の欄に首を捻っておりました。
「構成力って何だ?」
色々調べてみたものの、あまり納得の行く答えは得られませんでした……。
が、ある時なろうで小説を書いていた時に、ふとようやくその答えに行き着いたんです。
構成力とは、「元あるお話をもっと面白く感じるようになるための、ストーリーの並べ方」。
勇者の誕生、勇者の成長、勇者の魔王討伐、魔王討伐後にスローライフ。
これを時系列順に淡々と並べていたのでは、ただの日記です。
小説にするには、きっとこうするはずですね。
勇者の魔王討伐、スローライフ、回想において勇者の人となりを紹介、スローライフ後にも成長……
要はどんなによくある話でも、並べ方を変えれば面白くなる可能性が出て来るということなのです!
逆もまた然りで、どんなに奇抜なストーリーでも、並べ方が雑だととたんにつまらなくなってしまうことがあります。
私の書いていた小説「魔王様、それって愛ではないですか?」という作品。
仲間に裏切られた女勇者が魔王に拾われ、魔王城で同居生活を送るというお話なのですが、当初、この作品は時系列順で書いていました。
つまり、
仲間に裏切られるシーン、様々な思いから泣くシーン、魔王に拾われるシーン。魔王に気に入られて口説かれるシーン。
しかし書いていてつまらなかったので、冗長な冒頭を端折ることにしました。
実際の展開は以下の通り。
勇者はいきなり魔王城前に簀巻きにされ、転がったまま泣きじゃくっている。
そこに外出から帰って来た魔王にあっさり拾われる。
回想からの、突然のキス(キャー!いやん!)
※ここまで冒頭二話。
細かい裏切りや回想シーンは後回しにしてしまいました。
とにかく美味しい場面をささっと展開させ、序盤に期待値を上げる作戦を取ったわけです。
結果これは当たり、完結後に異世界恋愛ランキング66位、日間ランキング300位以内に入ることが出来ました。
感想にも「冒頭で一気に引き込まれました」と書いていただけました!良かった〜。
だらだらと時系列に話を並べていたのでは、きっと読者の気は引けなかっただろうと思います。
並べ方と端折り方を大胆にすれば、似たような話でも個性が出るし、気を引けるんですね。
もしあなたが今書いている小説に何かが足りないと思ったら、
「どういう冒頭なら心惹かれるか?」
「次にどんな話が来たら(自分が)楽しいか?」
と考えながらストーリーの流れを並べ替えてみると、新しい発見があるかもしれませんよ。