表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

闇い街の中で

 闇に落ちた街の中に、タッタッタッと走る様な音が響く。

否、その男は走っていた。怯えたような顔をして、男は何か(・・)から逃げていた。

 まだ追ってきている。男は直感でそれ(・・)の存在を感じ取っていた。


 男は歴戦の殺し屋だ。修羅場や死線を幾度もくぐってきた男だ。自身の直感に助けられた事も何度もある。現代社会において最強の称号を与えられている。

「なんでだよ…っ!なんで俺が…っ!!」

 彼は何も聞かされていなかった。いつも通りに依頼をこなして、帰路へ着いた所であった。そこへ訳の分からないまま奇襲を受けたのだ。

 奇襲からは逃れたものの、未だに追われている。あの禍々しい雰囲気は忘れようとも忘れられないものであった。

 あれには勝てない。己の技量、実力を熟知していても、いや、熟知しているからこそ、分かってしまった。


 周りはいつの間にか住宅街となっていた。高い塀に囲まれ、家々が立ち並ぶ。

 目の前に十字路を確認し、何処へ進むか思考を巡らせた。

 だが、男は十字路に差し掛かる手前で足を止めた。


「なっ…。いつの間に……!?」

 少女がいた。中学生くらいだろうか?しかし、放たれる禍々しい雰囲気、あれは先程まで自分の後ろにいた追手のそれと同じであった。


 止めた足は言うことを聞かず、引き返す事も出来なかった。


「何故…っ…。何故俺を狙う!?」

 男は理由を知りたかった。今まで散々殺してきた身だ。殺されようとも文句は言えない。

 狼狽える男に、少女は一言、

「…ごめんなさい」

とだけ告げ、右手を上げた。


 少女の足元に魔法陣が広がり、中から巨大な獣が姿を現した。頭と身体は獅子なのに、背中からは翼が生えていて、尻尾と思しき部分からは蛇がこちらを睨んでいる。

「なんだよ…ソイツ…っ!訳わかんねぇよ!!」

 突然の非現実的な光景に男は更に混乱する。


 少女が右手を振り下ろすのと同時に、獣は男へ飛びかかった──────────。



 男の死体を目の前に、少女は獣を魔法陣の中へと納めた。

ほんの少しの間だけ目を閉じると、少女はその場から跡形もなく消え去った。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ