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5話
何事か、恐る恐る僕は担任の机のそばに行った。
ゆっくりと開いた担任の口からは修学旅行僕が好き勝手したせいで班員は楽しくなかったと、
どうしてそんな楽しそうに放送ができる?お前は周りのことを考えていないのか?と、
意味がわからなかった。
放送で僕が楽しくなかった話をすればよかったのか?修学旅行を通して僕がどのように人のことを信用できなくなったか話せばよかったのか?
そんな話を全校放送ですればよかったのか?
そもそも僕を放送担当に選んだのは教員たちではないか、
ただ悔しかった。腹が立った。何も言う気も起きず悔しさと怒りで涙がこぼれた。
僕は下を向いたまま席について並べられた食事に手すらつけずただ机に伏せるためだけに食器を寄せて泣いた。
食事の時間が終わって仲の良かった男子数人がそっと近づいてきて慰めの言葉をくれた。
何人かで撫でてきた背中はすごく温かかったが友達の大切さとともに自分か大切にすべきものはその時に目の前にいる人ではなくこういう時に寄り添ってくれる奴らだと思った。
そして僕は担任になにかを頼ることはしなくなった。