8、掘れ掘れ掘れ、餌付け餌付け餌付け
誤字、訂正があれば教えていただけると嬉しいです。
今なら逃げるくらいはできるということで色々探しに行ってみた。
色んな色をしたバナナの形をした果実。
青以外はにおいがきつすぎて食べられなかった。
そして青色のものも、硬くてあまり甘くなくおいしくなかった。
火を通せばおいしくなるかもしれない。
黒いリンゴの形をした果実。
採ろうとして触ると爆発した。
けがをするほどの衝撃ではないが、どうやっても食べられなかった。
それからよく野山に行ったとき見かけたヘビイチゴがあった。
ただ大きさがバスケットボール大。
これは食いでがあるとかぶりついたら地球で食べたものと全く同じ味がした。
しかし、いきなり動き出し、何かと思ったら茎だと思っていたものは蛇の体で、蛇の体に生えているいちごだった。
確か地球ではヘビイチゴを食べにくる小動物を狙って蛇が近くにいるからという由来だったはずだが………
ムカゴも見つけた。
自然薯の茎にできる豆ぐらいの大きさのもので地球では趣味の山菜取りで見つけたものをよく食べていた。
ここにあるものは普通のジャガイモサイズ…
採ろうとしたら急にとげが生えてきて紫色の毒々しい色に変わる。
これはアウトだろう………
下の自然薯はどうかと思ったがムカゴの形を見てあきらめてしまった。
豆も見つけた。
近づいたら鉄砲のように豆を飛ばしてきて危なすぎて採れなかった。
一つ一つが目玉のようになっているブドウのようなもの、明らかにやばそうな食虫植物というか食肉か…に守られているイチジクのようなもの、スイカかと思って採ろうとしたら足と手が生えていて走って逃げていった………
「まさに異世界や………カオスやん………」
結局食べられそうなものは、ほどんどなかった。
唯一とれた青いバナナも2本だけ……全くおいしくないし食べる気がしない。
とりあえず飽きるとは思うが、魚で食いつなぎながら、できたらほかの食材も探していくべきだろう。
結局川に戻って魚を捕る。
いつも同じ場所だと魚がいなくなってしまうかもしれないので離れた場所に移動し、魚を捕る。
結果は大量、15匹。
ここいらの獣は魚を食べないんだろうか。
とりあえず下処理をして、火種が残っていたので木の棒に移しつけ松明のようにして穴を掘っていた崖のところまでやってきた。
枯れ派、枝、木を集めて焚火にし、その周りに木の棒を四本立て火が直接当たらないようにつるをつかって網のようなものを作る。
この上に魚を置き、燻製していく。
それと同時に枝に魚を刺し、焼き魚も作っていく。
ただ魚を焼くのも何なので穴掘りも同時進行で…
ちょくちょく様子を見ながら穴を掘り、また魚を見ながら穴を掘り……
いい感じで焼けたころになるといつものごとく子虎がやってきた。
「あとちょっとで触れるくらいの位置やねんけどな……」
モフモフしたいのを我慢して焼けた魚を2匹投げてやると嬉しそうに子虎はうれしそうにくわえて草むらに寄って行く。
そこに大きな影がぬっと出てきた。
瞬間大吉は飛び起き構えた。
大きな影は親虎だった。
正当防衛だとしても、子虎に魚をあげていたとしても、大虎からしてみれば大吉は敵で食糧になるのではないか。
大虎はこちらをじっと見ている。
大吉も目を離せずじっと見る。
大吉の額に汗が流れる………
子虎が大虎に甘えるようにすり寄る。
大虎がこちらを見て笑ったように感じた。
そのまま森の中へ入っていった。
「ふぅ、大丈夫やったか。あれは、笑とったんかな。敵と見られてへんのやったら嬉しいけど…」
そう言いながら大吉は、魚の燻製に、自分が寝るためにつるで囲ってなど準備をしていくのであった。
それからの大吉の生活は、ルーティン化していった。
晴れの日は、朝、魚を採り、穴を掘りながら保存食である干物と燻製、それから焼き魚を作り食べる。
気を使いきったら、気を静めた状態で長くいられるように動けるように修行する。
気が回復したらまた穴を掘っていく。
昼は、また魚を採り、穴を掘りながら保存食である干物と燻製、それから焼き魚を作り食べる。
その後は、地球で趣味の一つだった格闘技観戦の知識を利用して自分なりの型を作る。
シャドーというやつだ。
相手をイメージして殴る、蹴る、投げる、絞める。
本当は手刀などでの突きもやりたかったがどうも相手を刺すというイメージ、殺すというイメージが湧くと吐いてしまう。
小さい頃から動物を捌いていたのでグロ耐性はついていたはずなのだが、どうしたのだろうか。
そしてそれを3時間ぐらい行った後、森の探索に行く。
それで暗くなる前には帰ってきて魚の燻製か干物を食べて寝るという繰り返しだ。
ちなみに雨だと食事は魚の燻製か干物で済まし、後の時間はひたすら穴掘りをしながら気のコントロールの修行を行った。
…
………
………………
1か月経った。
大吉の変化を書こう。
はじめは8分程度でへばり解いていた気をつかった穴掘りだが、今では30分はもつようになった。
しかも頭の先から足の先まで意識するだけでかなり自由自在に使えるようになった。
また、まだ走ったりはできないが、歩くくらいなら気を静めて移動できるようになった。
森の散策の途中に大イノシシにあったのだが、気を静めていればかなり近い距離にいても気づかれなかった。
それとともに毎回餌付けを頑張った成果があり、虎の親子が居着いた。
たまに魚以外の獲物を捕っていっているのかいなくなることはあるが、〔一度獲物をもってきてくれたことがあったが大吉が失神してしまいそれからもってこなくなった〕子虎は大吉にすり寄り触らせてくれ、大虎は少し離れたところで寝転んでわが子を見ていることが多い。
せっかく仲良くなったので名前をつけてみた。子虎は色が白いので『ハク』、大虎はメスということが判明したので『ママガー』と名付けた。
ネーミングセンスは置いといて、寝ているときにはママガーがいてくれるので今はつるの結界を使っていない。
そして………
ようやく拠点ができた。
山菜採りはマナーや規則、また、採ったらダメな場所など様々なルールがあります。
もし山菜採りに行く場合は、事前に調べ、経験者とともに行くといいと思います。
またモフモフだと言って野生の虎に抱き着いてはいけません。
軽く死んでしまいます。