6、ためしてハッスル
誤字、脱字があれば教えていただけると嬉しいです。
魚も食べ終わり、落ち着きを取り戻したころ、再び拠点について考えていた。
「正直、つるの結界でなんとかなるかもしらんけど、ずっとはきついなぁ………結局洞窟はなかったし………そや!なかったら作ったらええんや。」
大吉は、ウキウキ気分で崖の方まで歩いていった。
「さて、やるか。」
地面に落ちていた平べったい形の石で壁を掘ろうとする。
しかし、壁は岩のように固く、とても石程度では人が住むくらいの穴が掘れそうにない。
「はぁ………これも無理かぁ……………でも、これなんか覚えがあるなぁ。漫画の修行でこんなやつあったような。確か、念の修行で………そや、気を使ったらええんちゃう?そしたら修行にもなるし、一石二鳥やん。」
ハ○ター×ハン○ーでは念の使い方をマスターするために、まっすぐトンネルを掘っていた。
大吉はまず気を右手に集中させ、自分の持っている石にまとわせようとした。
しかし、全くうまくいきそうな気配がない。
「これは、使い慣れてへんからダメなんか、それとも元々そんなことは不可能なんか判断に迷うなぁ……とりあえずしょうがないから素手でやろか。それも修行になるやろし。」
右手を手刀のように指までまっすぐ伸ばし、気を集める。
そして勢いよく崖に突き刺す。
ズボッ
そこから掘り出す。
ボロッ
「おぉ、うまくいった。これでいこか。野菜の名前の戦闘民族の漫画の修行編でも道具使わなんと土を掘って修行しとったし。後はどのくらい持続できるかやな。」
気は発動、停止はできるようになっていたが折角の機会に色々試してみることにした。
まず気を両手に集中し、時計を見た。時間は朝の10時ちょうど。
穴を掘っていく。
少しずつだが掘れていく。
ひたすら掘っていく。
………10時5分
少し光が乱れてきて掘りづらくなってきたが、止めずにさらに掘っていく。
………10時8分
汗はダラダラ出て、息は切れてきた。
光はさっきより乱れている。
確実に掘りづらい。
負けずに掘っていく。
……10時9分
くらくらしてきて、目の前が2重に見える。
光はかなり小さくなってほんの少ししか掘れない。
ここまできたらと、根性で続ける。
…10時10分
やばいと思った瞬間時計を見た。
時間は10時10分となっていた。
目の前が真っ白になり、その場に倒れた。
………大吉は目を覚ます。
時計を見ると時間は10時15分。
長い時間気を失ってしまったのかと思ったが思ったより短い時間の気絶だったみたいだ。
立ち上がろうとしたが、指一本動かない。
この状態で肉食動物でもきたらやばいんちゃうかと考えながら、いつもの独り言もいうこともできず、ただ祈っている。
………10時20分
何とか体は動き、しゃべれることはしゃべれる。
しかし、立ち上がることはできない。
「とり…あ…えず………、草…むらに………隠れよ………はぁはぁはぁ……」
体を引きずり、目立たないように草むらに隠れる。
………10時40分
普通に歩けるようになった。
しかし、体に全く力が入らず走ることはできなそうだ。
………11時ちょうど
体には力が入り、動き回れる。
しかし、気を使おうとしてみるがいつもの反応が全くない。
………11時50分
気も使えるようになってきた。
「うん、これは使い切ったら命にかかわるね………」
非常に危なかったのだが、この検証でいくつか気についてわかった。
一回しか試していないので不確かだが、今、大吉が気を持続できる時間は10分間。
そして使い切ると気絶してしまう。
時間の比率で考えると、使い切って持続時間の1/2倍の時間気を失う。
持続時間と同じ時間は体も動かせないし、声も出ない。
3倍の時間が経たないと体は動き、声も出せるが、立ち上がりもできないほど衰弱状態になっている。
5倍の時間が経たないと歩き回れるが走ったりはできない。
10倍の時間が経たないと走ったり動き回ったりはできるが気は使えない。
そして10倍の時間が経てば元の状態に戻る。
まあ、大体はこんな感じだろうか。
本当ならもっと検証した方がいいのかもしれないが、検証している間に襲われて殺されましたじゃ笑えない。
とりあえず、当分はしんどくなってきた8分ぐらいでやめておくべきだろう。
時間も時間なので大吉は魚を焼いた焚火の場所に戻った。
もう一度火をつけるのがめんどくさかったので生木も含めて木をたくさん追加しといたのだが、周りを石で囲い風よけもしてあったからか、まだ火だねはあるようだった。
そこにさらに枯れ木を追加し、火を燃え上がらせる。
そして、石をもってガチンコ漁。
「ガチンコ漁ってこんなにとれるもんなんかな。異世界やから?」
そう言いながら今回は7匹捕まえられた。
ナイフで内臓を取り、2匹は開いて石の上で干し、残りは枝に刺し、焼いていく。
今回は周りに気を張りながら…
気を使えば倒せなくても逃げることはできると思う。
ガサッ、ガサッ
白い子虎が現れる。
「また、お前か。まぁええわ。こっちおいで。」
大吉は近くに呼び撫ぜてあげたかったが、子虎は一定の距離以内には入ってこない。
「う~ん、まぁ、前より近づいとるかな。」
ちょうど魚から油が落ちて食べごろになった魚を2匹やり、ほかの魚を食べ始めた。
〈火の処理について〉
めんどくさいからといって、火種がのこったままほっておくのは非常に危険です。
燃え残りはできたら火消しツボなどにいれ完全に火が消え、冷めるのを待ってしまいましょう。
火消しツボに入れた燃え残りは次回火をおこすときに簡単に火をつけられる炭になっています。