1、とりあえず逃げるべし
誤字訂正があれば教えて頂けると嬉しいです。
「ふぁ〜〜〜。」
大きく伸びをして起き上がるとそこは森の中だった…
「う〜ん、空気がうまい…
って、なんでやねん!!」
あまりのことに1人ツッコミをしてしまった。落ち着いて必死に頭を回転させて思い出そうとするが、確かに昨日は仕事で思いっきりヘマをして、やけ酒に同僚についてきてもらったけど、飲み足らず一人で飲み歩いて………
そこからの記憶がない
「まさか、酔っ払って徘徊して森の中まで来てしもたとか…」
万が一という事でありえなくもないが、住んでいた場所からこんな森があるところなんて行けるのだろうか…
上を見上げると木々の間から空が見えていた。
今は、まぁ都会でも田舎でもないなんとなくの中途半端な土地に住んでいるのであまりないが、地元は田舎だったので、子どもの頃は山に入ってこんな森でよく遊んだ。
混乱していたが少し落ち着き周りも見えるようになって来た。
「とりあえず、落ち着かなんとな…」
自分の持っているものを確認する。
Tシャツにジーパン手には腕時計、さらにスニーカーに仕事用に使っているリュック。
リュックの中には仕事のために集めた資料がたくさん、後はこまごましたものがいくつか。
「う~ん、ようわからんけど、リュックがあるのは、ラッキーなんかな。とりあえずちょっとは落ち着けた………」
ギャーッ、ギャーッ
ガーッ、グォー、ゴァー
雲一つない綺麗な空にプテラノドンの群れ
「プテラノドン!!!」
よく見れば形や色は違うのだがそんな事関係ない。
大声を出したせいでプテラノドンっぽいやつがこちらに向かって飛んでくる。
「…いや、やばい………やばいでぇ!!」
自分が狙われているという事に気づき、逃げようと立ち上がろうとすると、柔らかい落ち葉に足を取られバランスが上手くとれず転んでしまう。
それが上手い事フェイントになったのかプテラノドンの攻撃を避ける事が出来た。
「うわぁあああぁ!!!」
叫びながら何とか起き上がり這いながら逃げようとすると、2匹目のプテラノドンが突っ込んできた。
とっさにしゃがむ。
爪が頭の上をかすり、空に何本か髪の毛が舞っている。
「危なっ!!」
叫びながら再び立ち上がり、プテラノドンから見られないように近くの茂みに飛び込んだ。
ずごごごごぉ…ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ……………
しかし茂みの先はどうやら急な坂……
「止まらへん、助けてぇ〜〜〜!」
&崖………
ヒュ〜〜〜〜〜
この間時間にして恐らく一瞬だっただろう。
死を意識したからか、その一瞬が何十倍、何百倍の長さに感じ、頭の中で色んな考えが巡ってくる。
今現在、崖から落ちている男、山本 大吉は、思えば損な生き方をしていた。
身長190㎝、体重100㎏、いわゆるプロレスラー体型で、見た目いかついが子ども好きのお人よし。
大吉が歩けば、不良どもは道を譲り、子ども達は怖がり、ヤ○ザからはスカウトされそうになり、こんなつもりじゃないといつもへこむ。
だが、大吉のことをよく知っている人からは信頼されていて、怖がられるというより、しょっちゅういじられていた。
大吉を知る人曰く、
「やつは、心優しきモンスターだ。」と
こんな死にそうな瞬間、あまりの出来事の連続に考えを働かせ続けすぎて自分のことは考えず…
地面まで後25m
このまま落ちたら死ぬよなぁ、そしたら父ちゃん、母ちゃんに迷惑かけるかなぁ…
地面まで後20m
友達も職場の人にも迷惑かけるよなぁ…
地面まで後15m
葬式ってお金かかるなぁ…
地面まで後10m
チョコ(犬)の世話誰がしてくれるのかな…
地面まで後5m
このまま落ちて死んでしまうのか……
俺は死ぬ、死んでしまう、誰も知らずに、たった1人で……………
「嫌や、まだ死にたくない。まだ食べたいものやてようさんあるし、したい事もあるし、可愛い嫁さんも欲しいし、出来たら子ども!!」
「こんな所で死んでたまるかい!!!」
その見た目から周りからの誤解は多かった。
そのためうまくいかないこともたくさんあった。
しかし、いつもは人柄もあり、周りが助けてくれた。
だから、自分も親切、信頼を大切にし周りの人を助け、困った時には頼るそんな関係の人を増やし助け合って生きてきた。
しかし、今は大吉1人だ。
何とかは自分でしなくてはいけない。
残り4m
崖に生えている木の枝を発見する…
残り3m
思いっきり手を伸ばす…
残り2m
無情にも枝は手からすり抜ける…
残り1m
周りを見るがもう地面だ…
「死んでたまるか、死んで……たまるかぁぁぁあああ!!!」
…………ドォォォォォオオオォォォン………
大吉のイメージは、BLE〇CHの若い時の黒〇一心をでかくして、糸目にしたような感じです。
顎髭は残したまま。