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ソニック・ブレイド  作者: 生田英作
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[90]


「Tシャッツにキュロットスカート姿のその女の子は、私に言ったわ。



『あのう……夏彦くんを知りませんか?』



 って。

 それで、私は気が付いたの。

 ああ、そうだった……。あの、私にとんでも無い事をした男の子、篠塚夏彦には、妹がいたんだった……って。

 園田大尉が、夏彦と話しているのを横でたまたま聞いて居て知ってたのよ。

 その時の夏彦の嬉しそうな顔を見て、夏彦が妹をとても大事にしてるんだなって言うのは、分かってたから。


 私のお尻に指を突き立てた男の子の妹。 


 あの時の私は、目の前の女の子が夏彦の妹と分かって少し意地になっていたのね。

 でも、今から思えば……あの時の私は、もう夏彦の事をどこか好きになっていたのかもしれないわ。じゃなきゃ、そんな態度取るなんておかしいものね。

 で、それは、ともかく――その時の私は、目の前の女の子を無視した。

 そしたら、目の前の子は、また話しかけてきた。



『篠塚夏彦くんって言うんです。こんな髪型で……こーんな目で……やさしくて……すんごくカッコイイの! 知りません?』



 誰の事なの……それは?

 私が知っているのは、私のお尻に指を突き立てて、みんなに怒られて小さくなっていた男の子――篠塚夏彦一等兵。


 電磁軍刀を引きずって歩くロクデナシよ!


 と、言ってやりたかったんだけど……目の前の女の子は、とても一途な目で私を見つめていたわ。

 それはもう、切なくなってしまうくらいに。

 まったくもう……どんだけ、お兄ちゃん好きな子なのよ!

 しょうがないから、私は、それも無視した。

 そして、もう話しかけて来ないで、とばかりに音楽プレーヤーのイヤホンを耳に入れてそっぽを向いたわ。

 でもね――

 そしたら、その子は私の隣に腰を下ろして言ったの。



『夏彦くんが帰って来なかったら、夏音(かおん)さん、また一人ぼっちだよ。ねえ、お姉さんと一緒にいてもいい? もしかしたら、また飛行機来るかも知れないし……』


『…………』


『ねーえ。お姉さん?』


『…………』


『……ええと、エ……マ……ウィンターズ?』


『ちょっと!』


『はわわわーん! ご、ごめんなさい。お姉さんのお名前が胸に書いてあったから。あのね、夏音さんはね……』


『篠塚夏音』



 私が溜まりかねて言うと目の前の女の子、当時の夏音ちゃんは、飛び上がって、きょとんとした表情を浮かべていたわ。私は、少し得意になって仕返しとばかりにさらに言ったわ。



『篠塚夏彦の妹でしょ? それに、飛行機は、またあとでもう一便来るけど篠塚夏彦は、乗っていないわ』


『え?』


『私が、間違って篠塚夏彦のチケットを使ってここに来てしまったから。だから、いくらここで待っていても篠塚夏彦は来ないわ』


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