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ソニック・ブレイド  作者: 生田英作
89/133

[89]


「夏音さんの登場だねっ! ひゅーひゅー」



 夏音が嬉しそうに囃すとエマは、頬を赤らめて肩を竦めてみせた。



「でも、夏彦程じゃないけれど、私と夏音ちゃんの出会いも決して、良い物とは言えなかったわ」


「ええ~。でも、それはそれで……」


「いいのよ、夏音ちゃん。

 あの時の私の態度は、自分で言うのも何だけど、それはヒドいものだったわ。

 

 もし、あの時あの場所に戻れるのなら、昔の自分のお尻を蹴飛ばしてやりたいくらいにね。

 

 て、いうのもね、輸送機の行き先が北海道って分かってから、私はすっかりふてくされてしまっていたのよ。地元の千葉にも友達はいないし、家族だってそれぞれの仕事で会えないから帰る意味は無かったけど……それでも、それはそれで予定があったから。

 まあ、実家の部屋にこもって国会図書館の昔の映画のアーカイブ見るだけなんだけど……。

 え?

 ほのかは、国会図書館の映画アーカイブを知らないの?


 もったいないわ!


 日本国籍の持ち主なら、二十四時間どこからでもオンラインで昔の映画がタダで見放題なのよ。

 ええ、この間も、夏音ちゃんと夏彦と私の三人で映画鑑賞会をしたわ。

 面白かったわね『節操無き戦い――草津死闘編』。

 二代目である主人公が、初代親分のかたきの兄貴分をボコボコにして源泉に投げ込むところが最高だったでしょう?

 私の映画のチョイスは、なかなかの物だと思うんだけど……。

 ああ、ごめんなさい。話の続きね。

 そう、 戦術輸送機は、私の気持ちに関係なく順調に北海道に到着して、放り出されるみたいに輸送機から下ろされた私は、バックを引きずりながら途方に暮れたわ。


 行く所なんてある訳ないもの。

 

 頼れる人だって誰もいないし……。

 空軍の宿舎に訳を話して泊めてもらおうかしら、と思っていたら、その時、一人の女の子が声を掛けて……」



 じゃーん!



 満面の笑みでエマとほのかに迫る夏音に二人は、顔を見合わせて笑った。

 猫がじゃれるように、ごろごろとエマの肩に身を寄せて甘えてくる夏音にエマは、困ったような笑みを浮かべながらそれでも、愛おしげにその艶やかな黒髪をそっと撫でてやる。


(こうして見てると本当に姉妹みたい)


 エマは、ほのかの視線に気が付いたのか、そっと肩を竦めて再び話し始めた。



「ええと……どこからだったかしら?

 ああ、そうそう。

 途方に暮れて滑走路の脇で座り込んでいた私に女の子が話し掛けて来てくれたところからだったわね……」


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