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ソニック・ブレイド  作者: 生田英作
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[70]

 と言っても、任務のために学校を空けるのは、よくある事なので別に気にするような事では無い。気になっているのは、篠塚夏彦達の事なのである。事務局管理中隊に確認したところ、篠塚夏彦、エマ・ウィンターズ、そして多賀城ほのかの三人は、戦術生体兵器や機械化人間兵器(メカニカル)の生徒にのみ許される『身体調整休暇』を採っているらしい。

 期間は、三日間。

 それ自体は、珍しいことでもなんでないのだが、さやかが、彼らから『さくら』を奪還した昨日の今日の事なのだ。何のための身体調整休暇なのかは、想像に難くない。


(篠塚くん達は、諦めていない――)


 この状況の中「話し合いで解決しましょう」と言う提案に彼らが聞く耳を持ってくれる事を期待するのは、お人好しを通り越して愚かであろう。


(また、戦う事になるのかな……)


 ちゃぷん。

 さやかは、首筋に手でお湯を掛けて擦りつつ、篠塚夏彦の事を、そして失ってしまったであろう友人エマ・ウィンターズの事を想った。

 もう、彼女が自分にあの笑顔を向けてくれる事は永遠に無いだろうと思うと哀しかった。

 それでも、これが生徒隊長の任務である以上、私情を持ち込む事は許されない。

 それに、もし、彼らが、さくらの奪還を試みるようであれば、自分は職務としてこれを撃退しなければいけない。


 いや、もしくは――。


 今度こそ、完全な無力化――二人を殺害しなければいけないかもしれない。

 さやかは、湯船の中でいやいやをするように首を振った。


(ウィンターズさん……。友達になれたと思ったのに…………)


 それに――

 それに……大戦中、死にゆく運命だったさくらの命を救ったのは、今は亡きさやかの姉。


 誉あかり。


 第三次大戦の勃発後、国防軍に入り、年齢制限上あまりにも無謀な「脳改造外科手術」受けて戦術生体兵器になった元小学校教師であり、篠塚夏彦とエマ・ウィンターズがその死後も慕ったってやまない元上官――


 園田あかり大尉その人なのだ。


 彼らは、そんな姉の背中を追いかけるようにして、今さくらを守るための戦いに身を投じている。

 彼ら自身のためではない。



 ただ、ただ、さくらのために。



(戦術生体兵器になって……お父さんの名字の『園田』を名乗って、周りの目を欺いてまでして前線で戦って。篠塚くんやウィンターズさん、それにさくらちゃんからもこんなに慕われて……)



 お姉ちゃん……。



 さやかは、湯船に口の上まで浸かり、目を閉じる。

 目を閉じる瞬間、隅の方でさくらが、チラチラとこちらの様子を窺っているのが見えた。


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