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ソニック・ブレイド  作者: 生田英作
57/133

[57]


(国府田アレクセイ!)


 慌てた敵が、技を発動しかけの右腕でその動きを制すべく身を捩るが――


(決まった!)


 夏彦がまさにそう思った次の瞬間、敵が初めて叫んだ。



絶対防護アブソリュート・プロテクション!」



 女性を思わせる甲高い声が響き、その能力は発動された。

 その技は――確かに、今は亡き園田大尉の技。

 熱量、重量はおろか、光量すら阻む絶対の防御力。

 唯一無二のその技が目の前で発動されたのだ。


 だが、それ以上に、その事を上回る驚きが夏彦の心に満ちていた。


(ありえない!!)


 夏彦の軍刀が、アレクセイの戦鎚が轟音と共に弾き飛ばされる。

 ぐっ、と歯噛みして夏彦とアレクセイの二人は、一足飛びで敵から離れた。

 二人は、敵を挟み込むようにして間合いを取直す。


(馬鹿な……)


 夏彦は、目の前に展開される技を無表情にただ見つめていた。


 否、例え感情表現に支障の無い常人であっても表情を失ってしまっただろう。


 目の前の敵は、まったく度し難い、信じがたい現実を見せたのだから。

 そもそも、軍隊格闘においてこれだけの速さ、技のキレを持つ戦術生体兵器は夏彦がそうであるように近接戦闘に特化した肉体的な能力者である場合が多い。ただ、その場合、肉体的な特性を利用した格闘術や剣術等の近接戦闘が主でエマの『精霊女王タイタニアン・バースト』のような熱量や光量を伴う中距離・遠距離攻撃能力などの特殊能力は持っていないのが普通である。


 戦術生体兵器の能力は、肉体的に常人の限界を超えた物か、常人に成しえない分野の物、どちらか一つしか発現しない。

 異なる能力を併せ持つ事は出来ない。

 それが常識であり、現在の生物兵器開発能力の限界なのだ。


(だが、目の前のこいつはどうだ?) 


 神速の格闘術を繰り出す肉体的能力。

 最強の防御力を誇る『絶対防護アブソリュート・プロテクション』を操る特殊能力。

 それは、夏彦とエマ一緒に居ることと意味合い的にはまったく同じ。

 中央軍事学院最強を誇るペアが――もちろん、中距離・遠距離攻撃と防御である『絶対防護アブソリュート・プロテクション』の組み合わせの違いはあるにせよ――まさに一人で存在している事に等しいのだ。

 敵を挟んで向う側で戦鎚を構えるアレクセイも信じられないに違いない。ハンマーを握る手を何度も握り直し、明らかに攻撃のタイミングを見失っている。

 夏彦も軍刀の構えを下段の構えに換える……が、


(くっ…………)


 間断無く構えを取り続ける敵に着け入る隙は全くない。

 不用意に仕掛けた所で、あの能力だ。

 もし、あれが園田大尉の能力と同じものであるのならば、それを破る方法も無いではないのだが、そのためには――――。


(くそ……まるで、こっちの置かれている状況を見透かしているかのようだな)


 夏彦は、心の中で思わず舌打ちする。

 しかし、例え相手がこちらの事をどの程度知っていようと、その能力が超一級品であることに変わりはない。

 目の前のそれはこれまで見て来た敵の中では間違いなく最強の部類に入るだろう。

 度し難いほどの難敵だ。

 認めざるを得ない。


(こいつの力は……戦術生体兵器の能力の域を遥かに超えている!)


 夏彦達は、構え続ける。

 敵味方三人の気迫だけが充溢し、気力だけが空しく消耗されて行く。



 敵を挟んで上段にハンマーを構えるアレクセイと仕掛けるタイミングを謀るべくアイコンタクトを取ろうと夏彦がさらに構えを変えようとしたまさにその時だった。


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