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ソニック・ブレイド  作者: 生田英作
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[42]

 夏彦とエマ、そしてほのかの「日替わりランチA」は、サバの味噌煮に春雨サラダ、完熟トマトのスライスに豆腐とワカメの味噌汁で構成されている。

 材料は、合成濃縮食品と光触媒工場産が大半で残りのわずかな部分が純粋な農産物、海産物といったところだろうか。だが、今日び、これだけの食事を他所で食べようと思えば結構な出費が必要に違いないし、店だって相当厳選しなければならないだろう。なにせ、食糧事情はいまだに政府の悩みの種なのだ。 

 この「日替わりランチ」は軍や公共機関での食堂運営も主力事業としてこなすパシフィック・サーバントだからこそのランチメニューだろう。

 この学校に志願者が絶えない筈である。


(ふむ……)


 と、食事を始めてしばらくしてから、夏彦は、最後に残った冷めた味噌汁を啜りつつ脇でほのかとさくら相手に朗らかに微笑むエマを見て思う。


(エマも、変わったな……昔は、会ったばかりの奴と話するの泣いて嫌がってたけどな)


 だが――と夏彦は自嘲気味に思う。

 一番変わったのは、一切の感情を表現出来なくなった自分に違いない。


(それでも何とか生きていけるのは、夏音(かおん)とエマのお陰か……)


 そんなことを考えながら夏彦は、食事を終えた。

 そして、エマの一言がきっかけで始まった何気ないやり取りのおかげで、すっかり緊張のほぐれたらしいほのかへチラリと視線を向けてから、「ごちそうさま」と満足げに呟いて箸を置いたのだった。

 そのほのかであるが、今の彼女は当初の恥ずかしそうに体を硬くしていた時とは、打って変って、さくらとも気軽に話し(と言っても、さくらは話せないので、あくまでほのかが、一方的に話しかけているのだが)エマとも何か冗談を言っては、朗らかに笑い、その話を面白そうに聞いていた。

 彼女は、その気弱げな外見と異なり中々どうして話題には事欠かないタイプであるらしい。

 二人の話題に上るのは、ほのかの小隊(クラス)の事や趣味であるという料理の話、そしてエマの披露する夏彦の小話(恥ずかしいから本当はやめてほしいのだが)と中々の多彩ぶりだ。

 次々と二人の口に上る話題は、傍で聞いていてもなかなか楽しいものだった。

 エマとほのかのやり取りを聞きつつ夏彦は、三人の食事の進展を待つ。

 食事を終えた夏彦自身は、緑茶をすすっていた。

 彼女達の食事もそろそろ終わるだろう。


(そろそろ本題に入るべきか……)


 夏彦が、皆の話しに相槌を打ちつつぼんやりとそんな事を考え始めた時、突然、回りの生徒達が勢いよく立ち上がり直立不動の姿勢を取った。

 周囲の異変に気が付いたエマが夏彦の肩をつつき、ほのかも勢い良く立ち上がる。

 ほのかの隣で所在無げに視線を迷わせていたさくらに、ようやく事情の呑み込めた夏彦が立つよう目で促し、さくらもよたよたと立ち上がった。



「ウィンターズさん、私もお昼一緒に食べていいかな?」


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