[132] 終章
入口から先へは、今歩いてきた小道と同じレンガで舗装された道がなおも続いている。
そして、その両脇には、Aブロック、Bブロックと墓苑が区画ごとに並んでいた。
黒いスーツ姿のアレクセイが、携帯端末でダウンロードした墓苑の案内図を空中投影し、目的地を探す。
ホログラムの上を這っていた彼の指がEブロックの表示の上で止まった。
「この先を右だな……」
アレクセイが目的地へと皆を促した。
(初めて来たな……)
御影石で出来た墓石が並ぶ芝の園内を夏彦は進んで行く。
しばし、立ち止まって墓石の群れを眺めていたほのかが、ぽつりと言った。
本当に――
「たくさんの人が亡くなりましたね……」
「そうだな……」
皆の先頭に立っていたアレクセイもしんみりとした口調で頷いた。
戦死者百二十万人。
一般市民の死者およそ三百七十八万人。
日本単体ですらこれだけの被害が出たのだ。
当時日本に派遣されていた連合国軍であるアメリカ軍、欧州連合極東派遣軍、アフリカ連合極東派遣軍、南太平洋同盟軍、自由中華連邦軍の兵士たちを合算すれば、その数はその数倍にもなるだろう。
本当に――
「ひでぇ、戦争だった」
「……まったくだ」
夏彦も静かに頷いた。
ちょうど目的地に着いた所だった。
ようやく、来ることができた。
小道から少し奥まった所にその場所はあった。
「私も何回かしか来たことがなかったが――」
花束を胸に抱いた三枝医師が目の前の御影石の墓石に向かって話しかけた。
「久しぶりだね。今日は、夏彦くん達を連れて来たよ」
次回が、最終回となります。
ここまで読んで下さり、本当にありがとうございました。
ラスト1回となりますが、なにとぞ最後までよろしくお願いいたします。




