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ソニック・ブレイド  作者: 生田英作
114/133

[114]

 さやかは、周囲を見つめてしばし言葉を失った。



 櫻子だけは、何としてでも守る。

 そう思った瞬間、さやかは自身の能力『絶対防護アブソリュート・プロテクション』を迷うことなく全力で発動し、櫻子を抱いて床に伏せた。

 例え、自身の体を盾にしてでも、櫻子だけは――この子だけは、自分の命に代えても守って見せる。

 その一心だった。

 だが、その後に起きたことは、さやかの予想をはるかに超える出来事だった。

 恐る恐る顔を上げた瞬間に目に飛び込んで来たのは、自分たちへの攻撃ではなかった。

 滑り込むように音もなく移動し漆原海軍卿を守るように携帯防弾盾(アーマープレート)を展開した兵士。

 そして、特務小隊へ向けて突然発砲を開始した残りの海軍陸戦隊――。

 だが、それ以上に驚いたのは――



「どういう事だね、鈴木君!」


「ち、血迷ったか! 鈴木!!」



 マクドウェルとコーガンに向けて拳銃を構えた鈴木秘書の姿だった。



「鈴木君――」



 と、その鈴木秘書の背中に向けて漆原海軍卿は、まるで天気でも尋ねる時のような呑気な調子で言った。



「その二人は、大事な証人でもある。よろしく頼むよ」


「はっ。万事お任せを――」



 鈴木秘書がそう言うや否や、鈴木秘書の脇に控えていた陸戦隊の兵士が、専用の機械をかざしてマクドウェルとコーガンの両眼に向けて麻酔閃光トランキライズ・フラッシュを浴びせた。


 バリッ!


 と、耳をつんざく音と共にその懐中電灯にグリップと引き金を付けたような専用機械から発された光が目に叩き込まれた刹那、パシフィック・サーバントの役員二人は声を出す間もなく崩れ落ちた。

 床に転がった二人を陸戦隊兵士達は、慣れた手つきで拘束具で拘束し、部屋の隅へと引きずって行った。

 これが、さやかが恐る恐る顔を上げた瞬間、時間にして一分もしない内に行われた事の全てだった。

 その時、さやかの腕に抱かれた櫻子もそっと顔を上げた。



「櫻子ちゃん……」


「さやか姉……」



 床に転がったイスを盾にしてさやかは、再び櫻子を庇うように低い姿勢で身構える。

 今のさやかは、エマとの戦闘後の調整がまだ途中であり、万全の態勢とは到底言い難い。

 加えて――

 その一癖も二癖もある見た目から明らかに凄腕と分かる海軍陸戦隊の戦術生体兵器が、


(ひい、ふう、みい……)


 五人。


 陸軍、空軍、国家警察軍、特別高等警察と比較して絶対数が少ない分、粒よりの精鋭のみを手元に置くことの許された唯一の国家機関の――海軍陸戦隊の戦術生体兵器。


(たぶん全員、第一級戦術生体兵器……)


 社内の他部署から響く発砲音も考え合わせるとこれですべてという事はないだろう。もう数人は、いるに違いない。


(でも――)


 と、さやかは、二人を取り巻く陸戦隊の兵士への戦闘態勢を取りつつ身構え続ける。


(海軍が何を考えてるのか、漆原海軍卿が何を考えてるのかなんて分からない。それでも――)


 それでも、



 櫻子ちゃんは、私が守る!



 さやかは、勢いよく立ち上がり、戦闘態勢を取った。


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