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ソニック・ブレイド  作者: 生田英作
102/133

[102]


 だが、頭で分かっている事とそれを実際に出来る事には、実は大きな差がある。


 一般人が、プロの陸上競技選手のように速く走るにはフォームや足の筋力が大事であると知識で分かっていても、実際にプロ選手になれない事がその好例だろう。

 だが、目の前のエマが、事前に知っていたにせよ、この場で見抜いたにせよ(その場合は、もはや文句なしに敬服せざるを得ないが)その攻撃を実際に行い、機械化兵器(メカニカル)『ケルベロス』をしてその力を百パーセント出さざるを得ない状況にまで追い込んだのは紛れもない事実だ。

 これまでに、さやかが百パーセントの力で臨んだ相手は、篠塚夏彦とエマのみ。

 驚嘆せざるを得ない実力を持った二人だった。

 そして、その二人と戦う事になった自分。

 そこまで、三人を導いた何か――。

 さやかは、想いをはせて愕然とする。


 

 大阪攻防戦


 

 なんと因縁めいている事だろう、とさやかは思わずにはいられない。

 櫻子が戦略生体兵器になり、篠塚夏彦とエマという最強のペアが生み出され、姉が命を落とし、さやかが今の道を歩むきっかけになった戦い。



 第三次世界大戦の趨勢を決定付けた戦い。



 全ては、ここから始まったのだ。

 さやかは、医官から勧められたいくつかの候補の中から適当に選んだ自分の特殊能力が姉の物と同じらしいと資料で知った時の事を思い出す。

 そう、あれは、篠塚夏――


(もういいや、彼はエマと仲良し、って言うか恋人なんだろうし――)


 ――決定、彼の呼び名は、フルネームの篠塚夏彦改め『夏彦』。

 だいぶ、呼びやすくなったねっ。


(それに、名前で呼ぶなんてちょっと恋人みたいだし――まあ、実際に彼の事をそう呼ぶ事は無いだろうけど……)


 で……そう、あれは、夏彦とエマ、そして多賀城ほのかや櫻子と食堂で話し合った日の事。

 園田大尉の話を聞いて、血相を変えて資料室に駆け込んだ時の事だ。


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