表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/12

環心

そして鳥達を追うように七つの光が八方に飛び散る。

その光はナサムのペンダントの石が弾けて発生したものだった!

しかし、石化は止まらない。


そのすぐ近くの王座では、国王に死の影が降りて来る。

身体が力を失い、左に傾き、隣で支えていた王妃に頭を預けた。


「外からの干渉がなければ、今までの平和が続きましたのに…」

王妃は国王の頭を抱いて、そのまま目を閉じた。頬を次々と涙が伝う。


しかし、唇をかんで王妃は立ち上がると、国王を真っ直ぐに座らせて手を離すと大きく息を吸い込む。


「還身化水・拡散」


呟いて手の平を胸に当てると、王妃の身体が透けていき…そして、意識が都全域に拡散して行く。


「私は、ウィルタータを愛しております。

今までも、そしてこれからも愛し続けるでしょう。

民達よ。私達と精霊達で都の中に火の心を封じます。

都の再建のために、今はここを離れなさい。

その時が来るまで、自然を愛し、精霊を慈しみ、志しを忘れないでください」


空気中の水蒸気いっぱいに拡がった王妃の声に、都中の人々が涙していた。


ある者は道端で兵士がいるのも忘れて。


ある者は部屋の隅で縮こまったまま。


ある者は机に突っ伏して泣いていた。


「あなた…もういいですか?

…還身化土」

王妃が空気に溶けかけた手で国王の髪を撫でると、国王の体は服ごと砂化した。


「お休みなさい…痛みが癒えるまで」

砂が崩れ都中に散って行った後に残った、宙に浮く光に微笑む。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ