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 挙式まで家から出てはいけないよ、そうラッセ様に言われて、私は大人しく書物を読んだり、刺繍をしたりしていた。

 とても静かな日々で、ラッセ様から他の国のことを聞いたりして、あっという間に時間は過ぎた。

 もっと、この時間を早く取りたかったと言ったら、ラッセ様は「僕は君の父上より歳が上だからね。たくさんの事を知っているだけだよ」と笑っていらっしゃった。

 この方と添い遂げるのだと、それが何よりも幸せなのだと本当に思っていた。



 挙式の日。ラッセ様が先に教会に行かれるとの事で、私は家でドレスに身を包んでいた。お手伝いさんたちが一生懸命になって私へ化粧を施してくれる。ラッセ様に相応しい姿になるのだと、頑張っていた。

「奥様、大変です! 旦那様が!!」

 夜会のあとから、家令が私を「奥様」と呼ぶようになり、お手伝いさんたちもそう呼ぶようになっていた。

「ラッセ様が、どうかしたの?」

「……旦那様が、盗賊の一団に襲われたと……」

「馬鹿な!!」

 この国は私の産まれた国よりも治安がよくて、そんな話を聞いたことが無かった。それに、この家の馬車は私が使うことになっていて、ラッセ様が乗っていらっしゃった馬車は、ごくありふれた馬車だったのに……。

 私は足元から崩れ落ちる感覚に陥っていた。

「それで、ラッセ様と家令は?」

 一緒に先に向かった二人はどうなっているの?

「お二人とも、お亡くなりになりました」

 お手伝いさんの言葉に、私は意識を失った。


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