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 リュリュ様と別れて街中を歩いていると、とある少女を見かけた。

 年齢と着ている服が合わない。私はそう思いながら、その少女が気になりあとをつけた。

 悔しそうにしている少女を見て、私は思わず声をかけた。

「どうした?」

「え?」

 驚いた少女の顔は今にも泣きそうだった。

「いや……君が泣きそうだったから……」

 その言葉に少女は自嘲気味に笑った。

「あら、ありがと。でもね、お兄さん知ってる? 涙が無くなったら泣けなくなるのよ」

「涙が無くなる?」

「そ。泣きすぎちゃうと涙が無くなるの。そうするとね、どんなことをしても泣けなくなるのよ」

「それは失礼」

 騎士の礼で少女に謝罪した。

「君はそうなってしまったのだね。だから、そういうことが言える。

 ……もし君に涙が戻って泣きたくなったとき、私が傍にいたら君が泣き止むまで君の話を聞こう」

 私らしくもない。だが、少女は一瞬きょとんとしたものの、けたけたと笑い出した。

「お兄さん面白いのね」

「私にも職務があるのでね。『絶対君の傍にいる』とは口が裂けても言えない」

「正直さんは大好きよ」

「光栄だ」

 今まで数多の女性に愛を囁かれた時以上に嬉しかった。

「私の名は……」

「ストップ。聞きたくないわ。聞いてしまったらきっと夢から醒めるもの。お互い、名乗らない方がいいかもしれないわ」

 少女はどうしてこうもどきりとする言葉ばかりを言ってくるのだろう。確かに、私は偽名を名乗ろうとしていた。

「ねえ、素敵な騎士様。少しお話しない?」

 そうして私と少女は約束の時間近くまで、路地裏で話込んでいた。


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