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「カルロッテ!!」
丸腰の私に向かって斬りつけようとした剣は、カルロッテの背中を斬っていた。
私の後ろに庇っていたはずのカルロッテは、何を考えたのか私を庇ったのだ。
「き…………、…………に…………ら…………」
意識を失う彼女が何を囁いたのか分からなかった。
「余は何も悪くない! 女が勝手に出てきただけじゃ!!」
いつまでも喚いているリュリュ様を一瞥して、私は廊下に出た。
「きゃあ!!」
彼女の背中から流れる血が、私の服へ模様を作る。
侍女たちがそれに驚き、悲鳴をあげていたがどうでもよかった。
「宰相殿。私は暇をいただきます」
「フレード殿?」
「もう、陛下をお諌めする気にもなりません。長らくお世話になりました」
途中で会った宰相にそれだけを伝えると、私はとある医者へ向かった。
「世話になる。怪我人だ」
「陛下の試し切りかい」
医者の言葉を無視して、私は彼女を寝台に乗せた。
「運がいいね。ちょっとずれてたら、ここに来るまでにあの世行きだよ。しかも、ここに来るのが早かったおかげで、何とかなりそうだ」
「……そうか。明日にでも彼女を連れて逃げるつもりだ」
「馬鹿言うな! 傷が……」
「仮に治ったとしても、彼女の幸せになるとは思えない。傷を縫って、薬だけ貰えればいい。私に脅されたと陛下に言えばいい」
それだけ言うと、ナイフを手に取り医者の首にあてた。
「分かったよ。やれるだけやる」
医者が傷を縫う間、私は急いで彼女の服と私の服を用意した。




