1/14
1
企画物初投稿です。完結まで一時間おきくらいに投稿していきます。
童話ってさ、ホントは残酷なんだよね。
誰かが言ってた言葉がある。
美化されたけどって。
でも、私はその童話が大好きで。いつもその中で夢見てた。
いつか、私にも運命の人がいたらいいのにって。
夢見るくらい、自由でいいじゃん。
夢か現か幻か。
その日、わたしの前に現れたのはそんな人だった。
――君は誰?――
――君は何故ここにいるの――
その言葉を「彼」が言った瞬間、私は現実に引き戻される気がした。
気がついたら、そこには何も無かった。
そして、もう一度気がついたら部屋にいた。
その間、何をしていたのかも分からなかった。
だから、「彼」は幻だと思うことにした。
それから数年後、私はまた「彼」に会った。
数年前と変わらない姿形に、これは夢なのだと悟った。
自由のない私が、自由を求めた結果だと。
でも、現実はそこまで優しくなかった。