竹林の中の、一筋の光。
今は昔、竹取の翁といふものありけり。
この一文を、君は知っているだろうか。
これはかの有名な「竹取物語」の最初の一文である。
君はこう思ったことだろう。
「竹取物語は空想の話だ」と。
それは、半分正解ってとこだ。まぁ、こう言われても信じることなどできないだろう。
なぜなら、輝夜が月に帰って千年経ったのだから。
詳しく話すとしよう。
これは、私が帝だった頃の話。
1026年。
ある地方の一角に小さな民家があった。
その民家にはおじいさんとおばあさんが住んでいた。
おばあさんはもう年だったため、仕事や家事はおじいさんがやっていた。
おじいさんの名前は讃岐造と言い、仕事は、野山から竹を切り出し、それを色んな竹製品に加工し、売って生計を立てていた。
そのため、周りからは「竹取の翁」と呼ばれていた。
2人は、質素な暮らしであったが、その生活に満足していた。
ある日、おじいさんがいつものように野山に入ると、根元の光る竹を1本見つけた。
「あんな竹、初めて見るぞ」
不思議に思い、おじいさんはその竹を切る事にした。
すると
「おぎゃあ!おぎゃあ!」
なんと、そこにはとても愛らしい赤ん坊が入っていたのだ。
おじいさんはそのまま放置することもできず、その日の仕事を早めに切り上げ、家に連れて帰ることにした。
「ばぁさん、竹林で赤ん坊を見つけたから思わず連れて帰ってきたんじゃが・・・」
おじいさんは気付いていた。
2人で生きるので精一杯だから、子供ができると生活が苦しくなる、と。
「その子供のことは置いといて、言いたい事が・・・」
「大丈夫です。おばあさんは無理しないで下さい」
「誰じゃ」
「安心なさってください。私は帝の使いのものです。」
「帝の使いじゃと?」
「えぇ。帝が、あなたの作る竹製品を気に入ったようで、これから1個作る度に多額の報酬を支払う。と言うのですが・・・どうですか?」
「報酬は、どのくらいじゃ?」
「少なくとも、その子を養えるくらいには」
おじいさんはおばあさんの方を見た。すると、おばあさんは小さく頷いた。
「分かった。帝の専属になろう。」
「では、早速今日からお願いします」
とだけ言い立ち去った。
と、序盤は大体こんな感じだ。
これからもまだまだ続くから最後まで見てくれたら嬉しい。
そして、先に言っておこう。
この時の私は、まだ帝ではない。
帝の使いが帰ったあと、辺りはすっかり暗くなっていた。
「名前・・・どうしようかの」
おじいさん達は、竹林で見つけた赤ん坊の名前を考えていた。
すると、おばあさんが
「かぐや・・・なんてどうかの?」
「かぐや?」
「そう、かぐや。輝くに夜って書いて輝夜。」
「なるほど・・・輝夜か。この暗い夜でも、この子の周りは輝いてるように見える。そういうことじゃな?」
おばあさんは何も言わずに静かに頷いた。
どうして何も喋らないのか、そう思いふと赤ん坊を見ると
「ぐっすりじゃな・・・輝夜は」
そうして、その赤ん坊の名は輝夜となった。
「に、しても。本当に愛らしい。まるで姫じゃ。」
「ふふ。いいじゃない。・・・輝夜姫」
それから約3ヶ月の月日が流れた。
「おじいちゃん 起きて!」
「ん・・・あぁ輝夜か。輝夜ももうすっかり大人だな。」
輝夜は、この3ヶ月出会いらしい赤ん坊から気品溢れる美しい女性に成長した。
おじいさんとおばあさんは、
「竹から生まれたんだから、不思議なのは当たり前じゃ。」
と後に言ってくれた。
輝夜は、あまりのその美しさから、五人の男から求婚されていた。
あまり無視を続けるのも、彼女の良心が痛むということで、とある日に、屋敷を手配しその後品を集めた。
集められた5人はその屋敷の畳の上に1列に並んで、輝夜の姿が見えるのを待った。
しばらくすると、奥の襖からとうとう輝夜が姿を表した。
「まずは、私のために集まっていただきありがとうございます。そして、私輝夜はそう簡単にあなたがたの物になるつもりはありません。
なので、あなた方には『5つの宝物』を持っていただきたいのです。
とりあえず、左の方から自己紹介をお願いします」
輝夜がそう言ったあと、順番に自己紹介をしていく。
「私は石作皇子と申します。私は幼い頃から剣術を極めており、現在では敵なしと言われるほ・・・」
「もう結構です。そんな嘘まみれの自己紹介なんて聞きたくもありません。なので、他の4人の方。自己紹介を。」
「大伴御行だ。」
「石上麻呂。」
「・・・安倍御主人だ。」
「皆さん、ありがとうございます。」
そして、輝夜はそれぞれに1枚ずつ紙を渡して行った。そして、
「その紙に書かれてあるものを持ってきてください。期限は1週間です。健闘を。」
そこに集まった5人は困惑していた。なぜなら、
「こんなの・・・聞いたことない。」
そう。誰も、何も聞いたことがなかったのだ。だが、輝夜のいうことだからか誰も疑うことはできなかった。
それから一週間後。また5人はその屋敷に集まっていた。・・・正確には4人だった。
石上麻呂は、燕の子安貝を探していた。
燕の巣がある蔵の屋根につかまっていた。
しばらく巣に手を入れて探していた時、何かを掴んで大喜びした拍子に屋根から手を離してしまい、頭を打って死んでしまったのだ。
哀れなことに、掴んでいたのはツバメのフンだった。
長くなるから、結論から言おう。
全員失格となった。
3人は不本意ながらも、何も言わずに帰って行った。
だが、安倍御主人だけは違った。
「我に・・・この我に・・・恥をかかせたな。許さぬぞ、輝夜殿!!」
阿倍御主人は、隠し持っていた刀を取り出し、輝夜を切りつける。
輝夜は、思わず目を瞑り死を悟る。
ザシュッ
「・・・痛く・・・ない?」
「大丈夫ですか?・・・輝夜姫」
輝夜が目を開けた時、そこに立っていたのは阿倍御主人では無く、初めて見る者だった。
「安心してください。私は敵ではありません。」
「・・・あなたは?」
「私は、ただの剣士ですよ。」
「お名前をお伺いしても?」
「物部・・・清麻呂と申します。」
この剣士、物部清麻呂こそが・・・後に帝となる、私だった。
「物部様・・・私、貴方に恋をしてしまったようです。」
「えっ」
「あっ、ごめんなさい。急にこんなこと言って」
「いえ・・・嬉しくてびっくりしただけです。私も貴女に好意があったから助けたのですから。」
「では、早速婚約しますか?」
「ええ、婚約しま・・・」
恋というのは、いきなり始まり、いきなり終わる。この時はそれを痛感させられた。
「輝夜殿。お熱いところ悪いが、そなたは我と婚約してもらう。」
「誰だ!・・・って、帝?」
そこには帝と、その帝を守るように立っている衛兵がいた。
「そんなの、無理に決まっているでしょう」
輝夜がそういった時、帝はある者を連れてくるよう衛兵に伝えた。そして、
「うそ・・・おじいちゃん、おばあちゃん・・・」
「我と婚約しないと言うなら、ここでこのふたりを斬り殺す。」
おじいさんとおばあさんは眠っているようだった。
「なんて卑怯な真似を・・・」
「・・・物部様、ごめんなさい。私・・・おじいちゃん達を見捨てられません」
「ははは!無様よのう!都の民は我がこんなことをしているとは思ってもないからな!」
とんだクソ野郎だ。
そう思っていた時、帝の後ろに勘解由使がいることに気付いた。
その瞬間、思わず私の口から笑みが漏れてしまった。
この勝負の勝ちを、確信したからだ。
後ろの勘解由使に聞こえるように、先程より少し大きな声で話す。
「その言いぐさ・・・貴様、他にも何かやっているな」
「当たり前だ!殺した人数は100を超え、犯した悪事は数え切れぬな!!」
「帝・・・その話は本当ですか?」
「なっ!勘解由使?!」
実に哀れだった。
「帝・・・そなたは、1度地獄で頭を冷やした方がいいだろう!」
「おのれ、クソガキがぁぁぁぁ!!」
その後、帝は処刑された。
そこからの都は、本当に忙しかった。何十年も治めてきた帝が処刑され、誰を帝にするかで連日話し合いをしていた。
ある日、輝夜が都の偉い者に
「私は、物部様がふさわしいと考えます。」
と言った。
輝夜の影響はとてつもなく、瞬く間に都中の意見は、「物部を帝にする」で染まっていった。
そうして、私は帝となった。
帝となった初日、早速私は悩んでいた。
ここ数日間、ずっと輝夜が月を見て悲しそうにしていたのだ。
その日は、久しぶりにゆっくり出来る時間を取れたので、輝夜に
「輝夜姫、話をしたいのですがいいですか?」
「それなら、場所を変えたいの。今日は特別な日だから。」
そうして、私たちは場所を変えた。その場所は、輝夜の生まれた竹林だった。
「・・・それで、話というのは?」
「輝夜姫、帝が処刑され1年が経ち、ようやく私が帝としての地位を確立することができました。
それは、輝夜姫の影響がなければなし得ることができなかったことでしょう。
心の底から感謝しています。」
すると、輝夜は何粒も何粒も涙を流しながら、僕の胸に飛び込んできた。
「輝夜姫?一体どうし・・・」
「約束、忘れたの?」
約束。
私は必死に思考を巡らせた。やがて、
「輝夜姫。私が帝になることができたら、今度こそは、私と婚約して欲しいのです。そして、輝夜と呼ぶことを・・・許していただきたい。」
「・・・当たり前です!待ってますからね!」
どうして、こんな大事なことを忘れていたのだろうか。
「輝夜姫、いや・・・輝夜。私の嫁になってくれますか?」
「!!・・・思い出したんだね。・・・はい!旦那様!」
そして、僕らは強く強く抱き合った。
あれから少しした時、輝夜から真剣な顔で話を切り出された。
「なんで、竹林に来たと思う?」
「さぁ」
「実はね・・・」
すると、輝夜は涙を流し始めてしまった。
「か、輝夜?大丈夫か?」
「うん、大丈夫。私ね、実は月の都の姫なの」
「月の都か」
「え?なんでそんなに驚いてないの?」
「だって、前から月を見ることが多かったじゃないか。それと、異常なほどの成長速度。その状況で月の住人って言われたら信じるしかないだろう。」
「そっか・・・そうだよね」
「それで、それがどうしたんだ?」
「・・・明日、迎えが来るの」
「そうか・・・心配させたくないから、言えなかったんだよな。」
輝夜は、もはや言葉を発することもできなかった。だが、しっかりと、頷いてくれた。
「大丈夫。ゆっくりでいいから」
それからしばらくは、輝夜をなだめていた。
「ありがとう。もう落ち着いたよ。それでね、、、」
その時だった。
空から馬車のようなものがゆっくりと降りてきているのを見つけた。
「もう、時間がないみたい。」
その馬車は、ゆっくりゆっくり空から舞い降りてくる。
「最後にね、清麻呂に渡したいものがあるの。」
「渡したいもの?」
「月の力っていうのは不思議でね。不老不死になる薬を作れるの。」
そう言って輝夜は、ひとつの瓶を取り出した。
「いつか。必ず戻ってくるから。その時まで、この薬を飲んで待ってて欲しいの。」
「姫。そろそろ行かなくては」
気付いたら馬車は地に着陸しており、中から美しい人が出て彼女にそう言った。
「分かった。じゃあね。清麻呂。」
「待って!」
私は輝夜の手を掴み、こちらに引き寄せる。
そして、
優しく、輝夜の唇を奪った。
「例え何年、何百年、何千年経とうと、私は輝夜を待ち続けるから!」
「・・・うん!」
そう言って彼女は、馬車に乗り込み、空の彼方へと消えていった。
これが、私と輝夜の物語。
今日は、輝夜が月に帰ってちょうど1000年だ。
・・・空はあの日のように綺麗な星空が広がっている。
そう思った瞬間、私は思わず家を飛び出した。
途中、何度も転けた、何度も寒さで肺が潰れそうになった。
それでも、何かを感じ取った。
それだけで理由は十分だった。
僕が向かった先、そこは・・・
「はは.....やっと、やっと、帰ってきたのか」
最後に別れを告げた、あの竹林だった。
その竹林の中には、一筋の光があった。
私は、ゆっくりとその光へと近づく。そして、
「あ、あぁ、、、」
「輝夜!!」
「ただいま!清麻呂!!」
初めまして!刹那と申します!
今回執筆した竹林の中の、一筋の光。
実は生まれて初めて書いた小説なんです。
なので、所々表現もおかしいところもありますし、展開も急にめっちゃ進んだりと色々カオスでした笑
でも、個人的には結構いい出来になったと思っていて(本当に個人的には)生まれて初めてにしては中々なのでは?!なんて思っちゃったりしてます☺️
これからもたくさん小説を書いてどんどん上達していくので、暖かい目で見守っていただけると幸いです☺️




