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44話 真夏の戦い その6


「そういえば、朝と仲良くしてくれてありがとうな」


 一応、妹の友人ということなのでオレは社交辞令的な意味も込めてミナにそう言っておいた。

 するとミナは少し驚いたような顔をする。


「意外です」

「意外?」

「朝ちゃんと夜さんって仲悪いんですよね?」

「……え、まぁ」


 意外とぶっ込んでくるなこの娘。


「どうして仲悪いんですか?」

「さぁ、分からん」

「……何か変なことしたんじゃないですか」

「変なことって?」

「『ピー』や『ピー』とかです」

「……するか、そんなこと」


 そのうえ、とんでもない事を言ってくる。

 やはり後輩の妹だ。


「申し訳ないですけど、私は朝ちゃんの味方なので」

「仲がいいんだな」

「友達ですから!」


 そういうミナには自信が見えた。

 やはり前にルークの家で話した時とは違う。


「兄のオレがいうのもなんだが、朝のどこがいいんだ? 無愛想だろあいつ」


 そういうと、ミナは不服そうな顔をする。


「確かに初めは私もそう思ってました。でも今ならこう思ってます。──朝ちゃんはとっても可愛いって」

「……」


 オレは目を見開く。

 朝が可愛い?

 あの無愛想な妹が可愛い?

 ダメだいよいよ理解できん。


 ミナはオレの知らない妹のことを知っている。

 それが、少し羨ましくも思った。


 ***


 紆余曲折あったが、話し合ったミナとオレは2人で皆の元に戻る。


 妹が殺意を込めた視線をオレに向けてくるが、オレが何を言っても無駄なのであとはミナに説明してもらおう。


 ルークが笑顔で訊いてくる。


「ミナと2人きりで何してたんだい?」

「仲直り」

「そっか。それはよかった」

「……⁉︎」


 そのとき、後輩がジト目でオレを見ていることに気づく。


「先輩。ミナに変なことしてないですよね……?」

「変なことって?」

「『ピー』や『ピー』のことです」

「お前達、よくそんな悍ましいことが言えるな⁉︎」

「お前達?」


 やはりどんなに犬猿だろうと二人は姉妹なのである。


 ***

 

 海から出ると、後輩がオレの耳元で囁く。


「……先輩、今度はあたしと2人きりで遊びませんか?」


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