4話 バチバチ
初対面の友人の妹と妹の友達が睨み合い、沈黙する。
「初めまして、えっと、紗世ちゃんだっけ? あたし先輩とはほぼ毎日密室であれやこれやする仲なの〜」
先に言葉を声を発したのは後輩だった。
何故かオレの腕に抱きついて……。
言っていることは本当なのだが、なんだその言い回しは。
紗世ちゃんを見ると、笑顔だった。
笑顔なのだが……何故かその表情は笑顔に思えない。背後に灼熱のマグマが見える気がする。
すると、紗世ちゃんはオレのもう片方の腕を強引に引っ張って言う。
「初めまして、レナさん。わたしお兄さんとは一緒にお風呂に入ったこともある間柄なんです」
本当のことだ。
しかしそれはあくまで紗世ちゃんの胸がぺったんこだった頃の話で、妹を含めて3人でよく風呂に入っていた。
そして二人は睨む。
──オレを。
「先輩、その子とお風呂でマットプレイしてるって本当ですか?」
……なんだその情報。初耳なんだが。
「お兄さん。その方と毎日密室で何をされているんですか?」
笑顔……だよな?
そのはずなのに何故か紗世ちゃんの隣には阿修羅が見える。
しかも腕を掴む力がとんでもなく強い。腕の関節がもう一つ増えそうなくらい。……やばい痺れてきた。
そんな状況の中、コンビニに行っていた妹が帰宅した。
──た、助かった。
あの妹が、救いの女神に見えるくらい今の状況に危機感を抱いていたのだ。
しかし妹はそんなオレを見るや否や、侮蔑の視線を向ける。
「死ね」
シーネ〜!