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38話 お泊まり会 その3


 真夜中。

 喉が渇いて目を覚ました私は、寝ぼけた目を擦りながらキッチンに向かった。


「ん?」


 階段を降りると、リビングに灯りが灯っていることに気づく。


 気になって、私はキッチンに行く前にリビングを覗いた。

 リビングでは、紗世さんとルキにぃがソファに座って話している。


 ……どうしてこんな時間に紗世ちゃんとルキにぃが?


 しかも様子を見るに、随分と楽しそうにお話ししている。


 ……まさか、ね。


 ***


 翌朝。


 目を覚ますと、紗世さんはちゃんと私の部屋にいた。

 結局、あの時の私は2人の間に割って入るようなことはしなかった。なんとなく、入りづらかったから。


「ふぁ〜、おはようミナちゃん」

「うん、おはよう」


 私はじっと紗世ちゃんを見つめてしまう。


「どうかした?」

「え、ううん。なんでも……」


 そのとき、もう1人の友達が目を覚した。


「……おはよう」

「あ、おは──ぷっ」


 私は朝さんを見て、思わず吹いてしまう。


 いつも身だしなみがしっかりしている朝さんの髪が、盛大に爆発していた。


 ……だ、ダメ。笑っちゃ……。


 もちろん我慢できずに私は声を上げて笑ってしまった。


 ***


 それからもたくさん遊んだ。

 ゲームをしたり、お話ししたり、ご飯を一緒に作ったり。


 ……た、楽しい。


 そうしているうちに、夕刻になっていた。


「またね」

「お泊まり会楽しかったよ」


 そう言って、朝さんと紗世さんは帰っていった。


「……」


 お泊まり会はとても楽しかった。楽しかったからこそ、終わってしまた焦燥を余計に感じてしまう。


 リビングに戻ると、そこにはソファに座って本を読んでいるルキにぃがいた。


「……」


 結局、紗世さんには夜中にルキにぃと何を話していたか聞けなかった。聞いてはいけないような気がしたから。

 ……でもルキにぃになら。


「ねぇ、ルキにぃ」

「ん? なんだい?」

「夜中に紗世さんと何話してたの?」

「なんだ、見てたのか」


 そう言うと、ルキにぃは本を閉じる。


「……」


 ルキにぃが口を開くまで、緊張で体が強張った。


「夏休みに皆んなで遊びたいなって話をしてたんだ」

「え、」


 思ってもいなかったことに、私は唖然とする。


「母さんの実家が海辺に別荘持ってるだろ?」

「う、うん。白浜だっけ?」

「まだ父さんに確認はとってないけど、その別荘を借りられたら、みんなを誘って旅行でもしようってね」

「そ、そうなんだ」


 友達と海に旅行。


 ……何その激ヤバ青春イベント。


「あれ、でもどうして紗世ちゃんと話してたの?」

「みんなでどこかに行きたいって善光寺さんから提案があってね」

「ふーん」


 紗世さん、いい人すぎる。学校で人気があるのも頷ける。


 ……でもなんで紗世さん。ルキにぃに相談したんだろ?


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