28話 友達のもう1人の妹 その2
「ミア・シュナイツです。兄と姉がいつもお世話になっています」
ルークのもう1人の妹、ミアはそう言うと、軽くお辞儀をした。
オレはルークに耳打ちをする。
「……お前、もう1人妹いたのか」
「あれ、言ってなかったっけ?」
「言ってないし、聞いてない」
後輩からもそんな話、一度も聞いたことなかったぞ。
オレはミナに視線を向ける。
……それにしても、やはり後輩によく似ている。
後輩に似て、綺麗な顔立ちをしている。
「兄と姉から夜さんのことはよく伺っています。会えて嬉しいです」
一方で、言葉遣いやオレに対する態度は全く違う。
……いや、後輩もはじめはこんな感じだったか。しかしいつからか、オレをからかう言動ばかりをとるようになった。
要するに、だ。
──舐められたらおしまいだ。
舐められないよう、オレは気を引き締める事にする。
「そ、そうか! オレも会えてくうれ……い、いやよろし、あ、いや……」
……忘れていたが、自分は初対面の相手には人見知りを発動してしまうタイプだった。
「ふふふ」
それがおかしかったのか、ミナは微笑んでいた。
……やってしまった。
そんな無念でいっぱいの心中の最中、ミナはオレとの距離を詰めた。
「夜さんって、おもしろいですね! 私、夜さんとおもっと話したいかもです!」
「……」
え?
***
場所は移って、シュナイツ家のリビング。
当初の予定通り、オレとルークはゲームをする。
ただ当初と違う点は、ルークの妹であるミナが加わっている、ということだろう。
ミナはオレの隣に座り、身体を密着させてくる。
「夜さん、私このゲーム初めてなので教えてください〜」
「……ルークのゲームだし、ルークに教わった方がいいんじゃないか」
「でも夜さんゲームがお上手なんですよね! だったら、夜さんに教えてほしいかもです」
「……」
オレでもわかる。この状況は明らかにおかしい。
もしかして──
ゲームスタート。
「わぁ〜、夜さんうまい〜」
「い、いや〜そんなことは……あるかもな。ははは」
モテ期というやつなのか?




