1話 友達の妹
自室にて。
「──夜、トイレ借りてもいいかい?」
「あぁ」
最近、学校帰りに高校の友人とゲームをすることが日課になりつつある。
友人の名前はルーク・シュナイツ。
黒髪黒目平凡なオレとは正反対な金髪碧眼を携えた、いわゆるイケメンというやつである。
その形質はドイツ人の父親から受け継いでおり、日本人の母親から習ったであろう日本語も完全にマスターしている。そのため学校でもかなりモテてている。殺意を抱いたのは一度や二度ではないだろう。
そんなルークとこうしてゲームをするようになったきっかけは、休み時間に携帯ゲーム機をプレイしてたオレにルークが声をかけてきた事による。ルークは転校生であり、その容姿もあり転校してきて一ヶ月が経った今でも注目の的だ。そんな奴とまさか友人関係になるなんて思いもしなかった。
そしてもう一人、最近増えた人間関係がある。
「せーんぱい。あたし喉乾いちゃいました〜」
オレのベッドに、纏めた金髪と鮮やかな碧眼を携えた女子がゲームをしながら、だらしなく横たわっている。
彼女の名前はレナ・シュナイツ。
ルークの1つ下の妹である。
ルークの妹もどうやらゲームが好きなようで、ゲーム機器やソフトが充実しているオレの家にやってくるようになったのだ。
オレは立ち上がって尋ねる。
「麦茶でいいか?」
「あたしミチョがいいです〜」
「……そんな洒落たもんうちにはない」
すると、後輩はオレに真剣な視線を当ててくる。
「知ってますか? 先輩」
「ん?」
「ミチョってコンビニにも売ってるんですよ?」
「買いに行けと⁉︎ 飲みたいならお前が行けよ」
出会ってまだ半月と経っていないのに、この舐められようである。一体どこで接し方を間違えてしまったのか。
すると、後輩は再び真剣なた眼差しをオレに向けてくる。
「知ってますか? 先輩」
「……なんだよ」
「あたしミチョ飲まないと発作で、服を乱して先輩のお母様の元に泣きながら駆け込んじゃんです」
「な、」
……なんて有害な奴なんだ。
この女の指図を聞くのは非常に腹立たしいことだが、このままでは親不孝者にされかねないので、オレはコンビニに向かう事にした。
「あ、せーんぱいっ。ついでにポテチと今週のジ○ンプもお願いしますね〜、間違えてGIGA買ってきたら、先輩のえっちな本を町内の紙飛行機大会に全部寄付しちゃいますから〜」
レナはベッドの上でゴロゴロしながらそう言った。
その姿は非常に無防備なもので、制服のスカートがあと数センチずれてしまえば、下着が見えてしまいそうである。
「……」
しかし、そんな事はとても些細なことだ。
何故なら、今のオレの頭には緩やかに血が昇っているのだから。
オレは静かに決意した。
「OKだ」
こいつには、是非とも、ぶどうジュースと料理用の酢をぶち込んだお手製ミチョを振る舞ってやろう──と。
小説投稿を始めました。
一日一投稿を目指しております。
これからどうぞよろしくお願いいたします。