第三十九話
キルシェ星系に到着したトキノリは雪風をドックに停泊させた。
理由は今回は運んできた荷物の量が多いからだ。
全ての荷物を降ろすことを考えればドックに停泊した方が効率がいいのだ。
ドックに雪風を停泊したトキノリはすぐに運送ギルドに連絡を取る。
「はい。こちらキルシェ運送ギルドです」
「リーズベルトから小麦粉を運んできました。荷物の引き取りをお願いします」
「少々お待ちください」
そう言って1度通信が切れる。
「お待たせしました。確認が取れましたので職員を派遣します」
「よろしくお願いします」
しばらく待っていると運送ギルドの職員が3人程やってくる。
トキノリは雪風を降りて出迎えた。
「お世話になります。早速、作業をはじめたいのですがよろしいですか?」
「はい。お願いします」
トキノリは雪風のハッチを開けて作業に協力する。
職員達は手分けして積んできた小麦粉を運び出していく。
作業は10分ほどで完了した。
「はい。確かにお預かりします。依頼料の方を振り込みましたので確認をお願いします」
トキノリは端末を確認して料金が振り込まれているのを確認した。
「はい。確認が取れました。ありがとうございます」
「いえ。他のご用件がなければ我々はこれで失礼します」
「すみません。マルエ公爵領行きの仕事ってないですか?」
「マルエ公爵領への依頼ですか・・・。少しお待ちください」
そう言って運送ギルドの職員は端末を操作する。
「申し訳ありません。マルエ公爵領行きの依頼はないですね」
「そうですか・・・。お手間をおかけしてすみませんでした」
「いえいえ。これも仕事ですから。それでは失礼します」
そう言って運送ギルドの職員達は運び出した小麦粉を持ってドックを出て行った。
雪風に戻ったトキノリをユーラシアが出迎えてくれる。
「何かありましたか?」
「うん。マルエ公爵領行きの仕事を探したんだけどなくってね」
「そうですか・・・。それも無理もない話かもしれませんね」
「どういうことですか?」
「マルエ公爵領は広大な宙域を誇っています。基本的に自分の領内で全ての物質が揃ってしまうのです」
「なるほど・・・。外部から物を輸入する必要がなければそもそも依頼が出るわけもないですね」
これは困った。
マルエ公爵領行きの依頼がなければ空荷での移動となってしまう。
「そう落胆することもないのでは?」
「というと?」
「私は今の環境が楽しくて楽しくてしょうがないのです。ですから、私のことは気にせずお仕事に集中してください」
「しかし・・・」
トキノリはこう言われて困ってしまった。
きっとユーラシアの関係者は今頃、必死にユーラシアのことを探しているだろう。
それを考えればあちらこちらにユーラシアを連れまわすのはどうかと思うのだ。




