第十三話
トキノリはマリーとの待ち合わせ場所に急いだ。
星系軍の施設で思ったより時間をとられたので待ち合わせの時間ぎりぎりだ。
待ち合わせの場所ではまだ幼さを残す女性が立っている。
「すまない。マリーで合ってるか?」
「はい。私がマリーです」
「待たせてすまない。トキノリだ」
「いえ。私が早く来すぎただけですから」
「立ち話もなんだしどこかのお店に入るか」
「トキノリさんは他の星系の人ですよね」
「そうだな。フロント星系には仕事で何度か来たことはあるが・・・」
「でしたら、お店のほうは私に任せてください」
「すまないが頼む」
マリーに案内されたのはおしゃれなレストランだった。
自分だけでは絶対に近寄らないタイプのお店だ。
「ここの料理はどれも美味しいんですよ」
「そうか。それは楽しみだな」
席につき飲み物と料理を頼む。
トキノリが選んだのはシェフのお勧めとなっていたステーキだった。
「それしか頼まないのか?」
「あはは。流石にお金がきつくて・・・」
「そういうことならここは俺に奢らせてくれ」
「そういうわけには・・・」
「自分だけ食べるというのもな」
「確かにその通りですね。配慮がかけてました」
「金なら気にしないでくれ臨時収入もあったしな」
「臨時収入ですか?」
「宇宙海賊の懸賞金が思ったより多かったんだ」
「そういうことなら私はオムレツにします」
もっと高い料理を頼んでもよかったのだが本人が食べたいものを食べるのが一番だろうと納得する。
「懸賞金で思い出しましたが修理代を振り込ませていただきますね」
「そうだったな・・・。使った資材から料金は算出しておいた」
そう言ってトキノリはマリーに代金を提示する。
「こんなに安くていいんですか?」
「ここでは遠慮はなしだぞ?」
「ありがとうございます。本当にありがとうございます」
そう言って何度もお礼を言ってくる。
「俺も前に修理代で散々苦労したからな。気持ちはよくわかるよ」
「そうなんですか?」
「親から船を受け継いだのはいいんだが、あちこっちガタが来ててな。何か起こらないほうが珍しいぐらいだった」
「あんなに立派な船に乗っているのに意外です」
「最近、乗り換えたんだよ。今回が新しい船での初仕事だな」
「そうだったんですね・・・。いいなぁ。私も素敵な船に乗ってみたいです」
宇宙船乗りにとって自分の船は家みたいなものだ。
少しでも良い船に乗りたいというのは誰しもが思うことだ。
「仕事の方はどうなんだ?」
「仕事ですか・・・。何も問題がなくてもぎりぎり黒字ってところですね」
「それは大変だな」
苦労して採掘して資源を持ち帰っても収支が苦しいというのは同情してしまう。
「トキノリさんの方はどうなんですか?」
「今の船なら余裕があるが前の船の時は似たような感じだったな」
「そうなんですね。どこの仕事も似たようなものなんですね」
そんな話をしていると注文していた料理が届いた。
「暗い話はこれぐらいにして取りあえず食べるか」
「はい」
宇宙船乗りは体が資本だ。
しっかりと食事を食べるのも大事なことだった。




