島風 琴那の春
「琴那〜?あんたしっかり準備した?今日から高校生でしょ?ビシッと!!」
朝からお母さんに気合を入れられる。
「わかってるよ。んじゃいってくるね」
「ちゃんと代表スピーチしなさいよ?お父さんとお母さんカメラ構えていくから!!」
「過保護!やめて!」
玄関から家を出て、心機一転で高校へ向かう。
新入生スピーチ。どうやら入試成績がダントツトップだったらしい。だがぜっっったいにやりたくなかった。どんな内容を話せばいいんだ??
とりあえず某動画サイトに乗っているスピーチを見ることにした。
なになに?高校生の自覚を、、、??中学の後輩との別れ、、、??勉学に更に励む、、、??
こんな典型でいいのか??まあいいはずだ、うん。
とまあ2時間かけてノリで作った。自信は、、、あるはずがない。もともと人前で話すのが苦手なのになんでよりによって一番なんだ。自分の脳を始めて恨んだ瞬間である。
高校になって初めての電車通学だ。同じ高校の制服をしている人をちらほら見かける。
私の高校の制服は普通だ。ブレザーで、真ん中にはリボンかネクタイをつける。スカート丈は、、、短くしてみるのもありらしい。
学校につき、クラス分けを確認する。私はD組らしい。知り合いを探してみる。そこには、、、立川!?
中3の夏だっただろうか、、、立川に告白された。
私の愛想、たまに見せる優しさに惚れたらしい。正直めちゃくちゃ嬉しかった。告白なんて初めてだ。
正直OKしても良かったが、彼のことをなにも知らない。それで付き合うのはなんというか、、、気が進まなかったのだ。
「無理!」一刀両断してしまった。言い方ってものを考えるべきだった。
そこからは関わりは殆どなくなってしまった。受験期という理由も相まって、話す時間や釈明する時間がなくなってしまっていたのだ。
さて、一応のスピーチの準備をする。まあ2,3分話をする程度だ。なにも怖がる必要はない。
入学式が始まり、長ったらしい校長の話が始まる。
「高校生としての自覚を〜そして節度を守った〜」
典型的な話で面白みにかけていた。だが私のスピーチも同じようなものである。
「校長先生ありがとうございました。続いて、新入生代表の島風 琴那さんのスピーチです」
壇上へ歩き出す。四方八方から視線が集まる。今ここから、私の新たな生活がスタートした。
番外編です。ネタが詰まったわけではありません。決して。次回はカフェの行の番外編やろうと思います。
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