しまかぜさん!?
新高校一年生になった立川 蒼。
今日からは新しい日々が待ってる、、、はずでした。
「え〜高校生らしい〇〇を〜そして各々が自覚をもち──」
と長ったらしい話で終わる入学式。果たしてこの中に真面目に話を聞いてる人はいるのか??
話を聞き流しながら、周りを見渡してみると知らないヒトばかりな、、、はずだったんだが。
「入学生代表D組、島風 琴那」
なんだって?琴那は中学生の時告白して振られた相手だ。当然今でも気まずい。でも彼女の偏差値帯ならもっと上の高校も目指せたはずだ。
彼女は成績優秀、運動もさることながら、そして容姿端麗、つまるところ才色兼備と言ったところだ。
しかしなかなかに悲しい振られ方をした。
「好きです!!付き合ってください!」
「無理です!帰って!」
淡々としすぎて思い出すだけでも悲しくなってくる。
にしてもまずいことになった。僕もD組だ。隣の席になったりしたら目も当てられない。
そんなことを考えていると、いつの間にか琴那の挨拶は終わる。
にしてもこの話を真面目に聞いてる人はいるのだろうか、、、恐らくいない。
「生徒会長 九条 波瑠 式辞」
壇上に現れたのはなんとも包容力のありそうな、、、いや肉好きの良い女性の先輩が出てきた。目は大きく、スタイルもいい。男子生徒の多くは一気に壇上へ視線を集める。
「え〜皆さん入学おめでとうございます。 本日はお日柄もよく〜」
またなんの面白みもない話が始まった。正直あの容姿と身体をみただけで男子は満足できただろう。
入学式も終わり、期待に胸を膨らませて教室へ入る。中学の時とはまた違う趣がある。
そして席につき、周りの席の人に話しかけようとあたりを見渡す。
右の席は、、、バリバリの陽キャイケメン。となると右の席、、、教室に貼ってある座席表を見る。
え〜島風???
冗談だろ。気まずさの極みだ。あんなツンツンしてる人扱うの僕には耐えられない、、、ていうか振られてるし!!
そう思いながら席に戻る、、、とそこにはなんと席に座っている陽キャが!!!
入学一日目でこのイベントを達成するとは。被席占領RTA走者にでもなろうかな。
そう思っているが僕は陽キャが苦手だ。席の周りをうろちょろしてみる。
が、一向に気づかない。我ながら影の薄さに傷つく。
「そこの席、立川さんのだから」
鶴の一声。そして雪のように冷たく、ずっしりと重いその口調は、まさに島風だ。
「いやいいじゃんw本人いないし」
気づかれてないことに悲しむ。
「いやいるでしょそこに」
指を指される。なんというか、うん、謎のうれしさがある。認識してもらっている。
「あ、ごめん気づかなかったわw」
更に傷つく。追い打ちをかけるな陽キャ!!
そしてやっと席につける。島風がこっちに話しかけてくる。
「中学の時は色々あったけれど、またよろしくね???」
陽キャとの会話とは1トーンちがい、少し明るめに話しかけてくれた。
「う、うんよろしくね。島風さん」
「中学の時は呼び捨てだったのに、まだあれ気にしてるの??」
グサグサ刺してくる。あんな振られ方して距離置かないほうが不思議でしょ!
「ま、まあ結構激しく、ね?」
「、、、なんかごめんね?立川?」
中学の時とは違う話し方だ。案外僕のこと気にしてないのかもしれない。
才色兼備な彼女と半ばため口で話していることが異質なのか、クラス中からの視線。そして鋭い視線も感じられる。
新規一変してむかえるHRだった。