冒険者編15 森の中で見つけた男は……
さて、境界付近についたわけだが。
……確か、森の中。洞窟の中に多いんだったよな。
そうして、俺は地図にかかれているポイントの場所の数を数えた。
……仕方ない、しらみつぶしに探していくしかなさそうだ。
ただ、俺は別に一人じゃない。だったら……
「ラズ、二手に分かれて探そう。そっちの方が効率的だ。」
「うーん……確かにそうなんだけど……私は寝ることにするよ。
霊体化してるから、何かあったら呼んでね。」
えぇ、今?……馬車に乗ってる時も散々寝ただろ。
まだ寝足りないのかこいつは。
そうしてラズは、霊体になり姿を消した。
まぁいいか。
さて、一番近いところは……
ゴブリンがいそうなところを2,3個ほど探した。
特にそれらしい痕跡も見つからなければゴブリンにもあっていない。
気が付いたら、俺は境界すれすれぐらいのところに来ていた。それに、空の色も暗くなっている。
今日の収穫はなし、さっさと帰ってミールを安心させてやろう。
そう思い、振り返ると俺から50メートルほど先だろうか。その木の間に人影が見えた。その人影はグルークのガタイをよりよくしたようなもの。
片手には棍棒を持っていたので冒険者だろうか。
上裸なのが少し気になるが……。どうやらこちらの存在には気づいていないらしい。道にでも迷ったのだろうか?
確かにこの森は整備されていないせいで帰り道などがややこしい。
「おーい!そこのおっさん!
冒険者か?道に迷ってるんなら、俺の地図を貸してやれるぞ!」
俺がそう言うとそのおっさんは俺の方に振り返り、ずんずんと近づいてきた。
「お!悪いな、坊主。少し迷ってるんだ。地図があるんならちょうどいい。
ここら辺に雨風を防げそうな洞窟だったりはないか?」
「はえぇ、珍しいもんだな。ここらで野営でもするのか?」
「まぁそういうわけだ。いい感じの洞窟を案内してくれや。」
「いいぜ、それならここから一番近い洞窟まで案内してやる。そこはゴブリンもいなくて安全なことが分かってるからちょうどいい。」
「?ゴブ、リン。なんだ、坊主。もしかして冒険者なのか?」
「まぁそりゃな。ほら見ろ。」
そういって、俺は自分の背中に背負っている剣を見せた。
「俺はしっかり冒険者だぜ。
ここらへんで上位種のゴブリンが見つかっててな。あんたは……シータギルドでは見ないからほかのギルドから派遣された冒険者とかなのか?」
「……そうか。坊主は冒険者なのか。そうかそうか……。
……それじゃ、案内してくれ。」
最後の一言。
少しだけこのおっさんの口角が上がってるのが見えた。
何か妙だったがただのおっさんであることに変わりないのなら問題はない。
俺はこのおっさんを、先ほど確認し終えた洞窟まで案内した。
「ついた、ここだぜ。おっさん。
……それじゃ、俺も帰るから。達者で……」
と、俺が言いかけた時、おっさんはこんなことを問うてきた。
「なぁ、坊主。お前さんは冒険者の中じゃつえぇのか?」
「ん~、どうだろうな。俺はあんまり強くないぜ。」
「そうか。ありがとな。坊主。ここまで案内してくれて。
それと……弱いんだったら……おとなしく死んでくれや。」
「は?何言ってんだ……」
次の瞬間、このおっさんはとんでもない速度で地面をけってその棍棒で俺に殴りかかってきた。
よけられる攻撃でないことは一瞬にして理解した。
俺は何とか両手でその攻撃の威力を殺したがそんなもの関係なく、俺は吹き飛ばされる。
「がっ!ぐはっ!」
とんでもない攻撃だ。ただ、この前のゴブリンの時とは違い、俺はうまく受け身をとることができている。
だが、その攻撃を食らった俺は
その場で勢いよく吐血してしまった。
「なんだ、坊主。そこそこやるじゃねえか。
確かに魔力もなく弱い。だが冒険者なだけはある。」
「どういうことだよ……。……おっさん。
急に攻撃なんかしてきやがって……。」
口についた血をぬぐい去り、このおっさんに問い詰める。
「それにその実力ってことは冒険者なんだろ。どうして同業者を殺そうとする?!そこに何の価値があるんだ!!」
「あぁ、そうか。坊主は知らねえよな。
……冥途の土産ってやつだ。俺が誰なのか教えてやるよ。俺はな……。」
一拍をあけて、おっさんは告げる。
「ゴブリンの眷属王、ドグだ。」
「眷属、王?」




