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あの日あこがれた瞬間移動  作者: 暁雷武
あの日あこがれた瞬間移動 冒険者編
11/52

冒険者編1 精、霊……?

「あなたなら、私を助けてくれるのかな?」


 俺はまたあの時と同じ夢を見ていた。あの時と同じ、その女性の顔は全く見えない。


「お願い。私を助けて。私を助けて。

………………。

助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて……。

……私を許して。」


 その声にはとんでもない絶望と贖罪の念があった。その声は、……俺のことを殺す……。そんな気がした。





 次の瞬間、俺は宿泊していた宿屋のベッドの上で飛び起きた。


「は、はぁ、はぁ……い、今のは……。」


 自分の体を見ると汗でびっしょりだった。誰かに心臓をつかまれた感覚だけがそこにある。

なぜなのかはわからない。ただ、これほどの「死」を目の前にするのは……初めてだった。




 あの事件の後、俺はすぐにルドルーファ領地を出た。


 冒険者になるためにはギルドに登録する必要があるのだが、ルドルーファ領にギルドはない。

なのでギルドがあるところまでは歩いていく必要がある。


 いや、馬車つかったらええやん?


 、と思った人もいるはずだ。だが、稼ぎ元がまだない俺には馬車を使う勇気はなかった。

ルドルーファ家の財産はたくさんあった。だが御者であるクリストファーさんに……



「妹のために残しておいてください。きっとあいつは誰よりもすごいやつになります。だから……」



 なんていって、全額を預けてある。

今になってあんなことを言った自分を後悔した。なぜなら、ちゃんと金がないからである。


 うーん、超まずいわ。宿代くらいしか残っている金がないんだよな。

 ギルドまでの地図はクリスさんにもらったものを見て確認しているが、まだまだ遠い。

 しかも、体力的な問題もある。ギルドに行くまでの道のりは遠く、また険しい。


 ギルドのある町の名はシータ。シータまでの道には山がある。しかもその山は汽車が通り道にしているあの山道だ。

つまり、魔物が出るかもしれない。


……。俺は地図を片手に肩をガックシと落とす。


「はぁ、どうしたもんかねえ。」


「そうですなぁ、あるじぃ。」


「ほんとになぁ。………。

……は?」



 俺の声に答えるかのように聞こえた声は俺の真横から聞こえた。その声の主を知るために横を向くとそこには、


 天覧石のような透き通った青色の瞳に、黄金の髪を携え、背中からは美しい羽根。

それだけであればただの天使。だが、その美少女はあほほど小さかった。フェアリー的な……何か?


「初めまして、主!私は精霊。突然だけど私と契約してね!」


「……せ、精霊?……お前が?」



 そうだ。この世界には精霊と呼ばれるものがいる。

精霊とは本来は見えないほどに小さく弱いものだ。なので、意識を持たないものがほとんど。

もちろんだが、中には強い力を持った精霊が存在する。強い精霊は存在との関係が強い場所,精霊院に駐在しているのだ。

精霊使いと呼ばれるものは精霊院に出向き、精霊に認められることによって契約を交わすことができ、その時初めて精霊は実体を持つようになる。


 という情報だったはずだが、


「主、私のこと怪しみすぎでしょ。なんで?っていう顔ずっとしてるよ。」


「いや、あ、当たり前だろ!

精霊っていうのは本来なら実体がないものだ。なのになんでお前はもう実体を持ってるんだよ。」


「あぁ、まずそこね。さっきはあんなこと(私と契約してね。)言っちゃったけど、……もう契約したから。私と主。」


…………。

 ( ゜д゜)ポカーン


 はっ!一瞬意識を失っていた!?


「は、はあ?!い、いつだよ、それ?!」


「そんなの、主がずっと気絶してた時に決まってるじゃん。

 ほんとだったら、精霊と主の力の比率を考えないと契約できないんだけど、私と主の力の比率なんて0:100に決まってるからね。簡単に契約できちゃった!テヘペロッ!」

 テヘペロッ、じゃねえよ。


「何、勝手にやってんだよ!

ってか何で俺なんだ?俺は精霊院なんて行った覚えないんだが……。」

「私をただの精霊と一緒にしないでほしい。私は精霊としての格が違うから精霊院なんてところにいなくていいの。

 それで、契約できそうな面白そうな子を探してたら主がいたってわけ。ドゥーユーアンダースタンド?」


「ノー、アイドォント。」



 思わず、大きくため息をついてしまう。


「なんで、そんな残念そうなの、主ぃ。私、結構強いよ。主、武力が全くないから都合よくない?」


 浮遊横スライドで俺の周りを回りながら、そんなことを言う精霊。

……なんかむかつくんだが。


 それに、そういう問題じゃないんだよな。学園で学んだ知識では、精霊と一度契約してしまったら、契約者が死ぬまでそれを切ることはできない。

つまり、一生こいつと一緒というわけだ。



「……はぁ、諦めるしかないか。わかったよ。契約するよ、おまえと。」


俺がそう言った途端にとても明るい表情になった。


「ありがとう、主!もう契約してるからあんまし意味ないけどね。認めるということが大事なのだよ、主!」


 テンション高そうに俺の頭に乗ってくる、……そういえば名前を聞いてない。


「おい、お前名前なんて言うんだ。」


「ないよ、精霊なんだから。……勝手に何か決めてよ、主。」


(なんて適当な。)

「あと、俺は主じゃない。キリアスだ。」


「それは知ってるって。でも主は主だからなぁ。

キリアスっていう名前も嫌いじゃないけど、やっぱ主呼びがいいな。」


「はぁ、そうかよ。」



 うーん、名前を決めろと言われてしまったがこんなことしたことがないからわからんな。

何をヒントに決めればいいんだろうか?


「なぁ、お前って好きなこととかないのか?」


「うーん、ないかなぁ。主は何が好きなの?」


「……読書かなぁ。あとは勉強とか。」


「えぇ、陰キャすぎるでしょ。

主もっとこうさ……あるじゃん。年頃の男の子でしょ。もっと体動かしなよ。外に出てさ。」


「別にいいだろ!」


 たぶんだが、このセリフは前世の俺にはもっと刺さってる。



「それで、名前決まった?主。」


 そういえばそうだった、名前を決めるんだったな。


「主、こういうのは第一印象だよ。どんな第一印象だった?やっぱり美少女?」


 なんだ、こいつうるせえな。

 ……第一印象、か。第一印象は何だっけっかな。


「……天覧石……ラズライトとか?」


「えぇ、それはヤダ。だってそれ石の名前でしょ。可愛くなぁい。……あと呼びにくくない?」


「もう、わがままだな。……じゃぁ、ラズ!」


 俺がそう言うと、うれしそうに目を輝かせながら、


「おお、主にしては結構いい名前じゃん!わかった、私はラズね!よろしく、主!」


「あぁ、よろしく。ラズ。」


 どうやら、あまり悪いやつではないらしい。こいつとは死ぬまでの付き合いになるらしいし、仲良くしておかなければな。

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