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希望光をさがして  作者: 須雄田 脩二
43/45

43.それぞれのこれから

「さぁ、少年も沢山飲め!」

ベルドイはティードの肩を叩き、酒を一気飲みする。

「ベルドイさん、毎日飲みすぎです。また道端で寝てしまって、奥様に怒られますよ。」

ティードはブドウジュースを飲みながら答える。

「こんな良い事があったんだ、飲まずにいられるかってんだ!なぁ、野郎ども!」

「おうよ!」

ルードで起こった出来事に貢献した者達には、王族から褒美を頂く事が決まっている。

ベルドイ達も十分な金額を貰う事が決まっており、更には王国防衛隊の設立、その入隊も決まっている。

「王国防衛隊に入ったら、報酬で十分に食っていけるぜ!」

「ほんと、ウェル達のおかけだ。」

同僚達も喜びの言葉を投げかけてくる。

「お前らが声かけてくれた事、本当に感謝している。まあ、一時は死ぬかと思ったけどよ。」

「俺はベルドイのタフさを信じていたぜ。久しぶりに一緒に戦えてよかった。」

ウェルも勢いよく酒を飲んでいた。

「そういえば、黒騎士って奴は見つからなかったのか?」

「はい。魔族との戦いの後に確認したのですが、倒れていた場所には姿が見えませんでした。どこかに隠れているのかもと思い探してみましたが、どこにもいませんでした。」

「おそらく、魔族と一緒に消えたと考えている。」

「なるほどな、また何か起こりそうだな。」

「そうなった時の為の王国防衛隊だろ、頼んだぜ!」

「おうよ、まかせとけ!」

ウェルとベルドイはグラスを打ち付け合った。

「今夜も宴だぁ!」

「あぁ、いつになったら寝不足が解消されるのでしょう…。」

ティードは溜息をついた。


シェリーは街の中にある教会で祈りを捧げていた。

「シェリーちゃん、ここにいたんだね。」

シェリーは祈りを止めて、声をかけられた方向に振り向く。

「あっ、ルネさん。ウェルさんと一緒に食事は良いんですか?」

「あんな野蛮な付き合いはゴメンだよ。」

ルネは並べられた椅子に座る。シェリーも横に並んで座った。

「ほんの一週間の出来事なのに、とても色々な事を体験したよ。」

「ウェルさん達とルネさんが出会わなかったら、私もどうなっていたか分かりません。本当にありがとうございます。」

「私の方こそありがとう。これからはどうするんだい?また村で静かに暮らす予定かい?」

「いえ。女神様より巡礼の旅を命じられましたので、先ずはディ・ルード国を周ろうと考えています。」

「ウェル達とかい?」

「未だ皆さんには伝えていません。そうですね、ウェルさんにはお願いすると思います。」

「そうか、大変な旅になりそうだな。」

「ルネさんも一緒にいかがですか?ウェルさんとお別れせずに済みますよ。」

「なっ!?どうしてウェルに気があると思うんだ?」

ルネは頬を赤くしながら話す。

「だって、ルネさんはウェルさんと話している時だけ表情が違うんですよ。気付くに決まってるじゃないですか。でも、どうして恋しちゃったんですか?」

「んー、なんだろう。村の奴らでは感じない刺激をもらったというか、あいつを見ているとカッコいいと感じてそれで…」

ルネが少しもじもじしながら話すので、つい微笑んでしまうシェリー。

「なるほど、とても素敵ですね。私も刺激的な恋をしてみたくなりました。」

「シェリーちゃんは好きな人はいないのか?」

「ロウさんは素敵だと思いますが、年齢がちょっとですね。お兄ちゃんはだらしないし、これから見つけます。」

「なんだか楽しそうだな。」ルネはフッと笑った。

「じゃあ、尚更一緒に行かないとですね!」

「まあ、どうせ村に戻っても刺激的な事はないし、それに気になる事もある。考えておくよ。」


ロウは王都の薬屋を訪れ、商品を選んでいた。

「久しぶりに来ましたが種類が増えていますね。これとこれを組み合わせたらより効果的な薬が出来そうです。」

ロウは薬草や花の蜜などを手に取りながら、組み合わせを楽しんでいた。しばらくすると、外から人が入ってきた。

「これはマイシュチェル様、お買い物ですか?」

「リネア殿、あなたも薬の仕入れですか?」

「はい、常備薬を揃えておこうと思いまして。」

「なるほど、それでは少しお助けを。良い利用法をお教えします。」

「医者からの助言は大変助かります。」

二人は薬屋で素材や薬の商品選びを楽しんだ後、軽食屋に入ってお茶を楽しんでいた。

「なるほど、そういう調合方法もあるのですね。とても勉強になります。」

リネアはメモを取りながら、ロウから薬の調合方法を聞き出していた。ロウはコーヒーを、リネアはハーブティーを飲んでいる。

「ところで、アルネア殿は見つかりましたでしょうか?」

「いえ。ラウバからアルネア様が捨てられた場所を聞きましたが、そこは崖になっていました。おそらく海に沈んでしまったと思います。」

リネアは寂しそうな表情で話す。

「そうですか、残念ですね。アルネア殿とはどの様な関係だったのでしょうか?」

「私が孤児院にいる時に、手を差し伸べてくれたのがアルネア様でした。たまたま訪れたそうで、「お前から強い魔力を感じる、利用価値がありそうだ。」と言って、私を孤児院から連れ出してくれました。それからは、ハレス卿の所でお世話になっていました。」

「なるほど。アルネア殿は弟子を探していたと言っていましたし、それが叶ったのですね。」

リネアはえっ?とした表情になる。

「マイシュチェル様はアルネア様と会った事があるのですか?」

「ええ、アルネア殿とはここルードで魔法の研究をした事もある関係です。彼女の魔法はとても攻撃的でしたが、芸術的で魅力的でした。魔界の話もお聞きはしていましたが、大事にはしたくないとアルネア殿から制止されていたので。これほどの規模だったと考えると、早く動くべきだったと思います。」

「そうでしたか、私ももっとアルネア様のお傍にいればよかったと思います。でも、後悔していてもアルネア様は喜ばないと思いますので、先の事を考えます。」

「そうですね。リネア殿はアルネア殿と話したいと思いますか?」

「えっ?何を仰られましたか?」

「リネア殿が望むのなら、アルネア殿と会話が出来る魔法をお教えします。」

ロウはニコっとしながら話す。

「そ、そんな事が出来るのですか?それは、是非ともお願いしたいです!」

リネアは机から身を乗り出しながらロウに話し込む。

「承知しました。少し難しい勉強になると思いますが、ここに居る間にお教えしましょう。」

「はい!よろしくお願いします!」


そして、更に三日ほど経った時、一同は王城より宴と集会の誘いを受ける事になった。

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